欠 - 漢字私註
説文解字
張口气悟也。象气从人上出之形。凡欠之屬皆从欠。
- 八・欠部
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𣣓
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤去劒切、謙去聲。『說文』作[⿱彡儿]、張口气悟也。象氣从儿上出形。《徐曰》人欠去也、悟解也。氣壅滯、欠去而解也。『韓愈・讀東方朔雜事詩』噫欠爲飄風。
又欠伸、疲乏之貌。人氣乏則欠、體疲則伸。『禮・曲禮』侍坐于君子、君子欠伸、侍坐者請出。亦作欠申。『前漢・翼奉傳』體病則欠申動於貌。
又不足也。『韓愈・贈張籍詩』今者誠自幸、所懷無一欠。
又水名、在汝南。『水經注』沙水東分爲二水、一水東注、卽注水也。俗謂之欠水。
- 部・劃數
- 欠部八劃
『玉篇』『集韻』𠀤古文欠字。註詳部首。
音訓
- 音
- ケム(漢) 〈『廣韻・去聲・梵・欠』去劒切〉[qiàn]{him3}
- 訓
- あくび(欠伸)。かける(欠缺)。
解字
白川
象形。人が口を開いて立つ形に象る。口氣を發し、言葉を言ひ、歌ひ叫ぶときの形で、そのやうな行爲を示す字に用ゐる。
『説文解字』に口を張りて气悟るなり。气、人上より出づるの形に象る
とするが、口を開いて欠伸する意で、あくびをいふ。
粤俗には今も欠㰦といふ語があつて、それは、あくび、くしやみをいふ。
藤堂
象形。人が口を開け、身體をくぼませて屈んださまで、くぼむ、缺けて足りないなどの意を含む。
落合
象形。口を開けた人の姿を橫から見た形であり、欠伸が原義。
甲骨文では、第一期(武丁代)の人名に用ゐる。《殷墟小屯中村南甲骨》458壬子卜貞、欠其步。
漢字多功能字庫
甲骨文は人が口を開け氣を出す形に象る。金文は銘文が不完全な形でしか殘つてゐない。小篆の上部の口を開ける形は變形して彡に作る。故に説文解字は、气を象り人の上に出づるの形に從ふ、とする。
甲骨文では人名に用ゐる。
- 《合集》914反
欠來。
- 《合集》21475反
甲午卜、今夕欠……
金文の殘字もまた人名に用ゐる。
欠伸を表す。
- 『儀禮・士相見禮』
君子欠伸。
鄭玄注志倦則欠、體倦則伸。
- 『漢書・眭兩夏侯京翼李傳』
故臧病則氣發於面、體病則欠申動於貌。
また缺少、不足を表す。
- 『集韻・驗韻』
欠、不足也。
- 『顏氏家訓・勉學』
或兩文皆欠、不可偏信一隅也。
は、書籍を校定するとき、二つのテキストのいづれにも不足があり、一方のみを信ずることはできない、の意。 - 唐・白居易〈寒食夜〉
忽因時節驚年幾、四十如今欠一年。
また虧欠を表す。
- 『舊唐書・懿宗本紀』
大中八年已後、至咸通四年、積欠一百五十萬五千七百餘貫匹。
- 『警世通言・桂員外途窮懺悔』
又經這番喪中之費、不免欠下些債負。
また身體の一部分を少し上げたり前にやつたりするさまを表し、多く恭敬の意を表す。
- 『三國演義』第76回
魏軍營門開處、徐晃出馬、欠身而言。
- 曹禺『雷雨』第一幕:
(魯貴)有點駝背、似乎永遠欠着身子向主人答應着「是」。
屬性
- 欠
- U+6B20
- JIS: 1-23-71
- 𣣓
- U+238D3
関聯字
欠に從ふ字
漢字私註部別一覽・欠部に蒐める。
其の他
- 缺
- 新字体を欠に作るが、別字。