杙 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
劉劉杙。見『〔爾雅〕釋木』。當讀劉劉爲句。郭云、劉子生山中、實如棃、酢甜、核堅。未知許意然否也。今人以杙爲橜弋字、乃以橜弋爲隿射字。
從木弋聲。與職切。一部。
康煕字典
- 部・劃數
- 木部・三劃
『唐韻』與職切『集韻』『韻會』逸職切『正韻』夷益切、𠀤音弋。〔音1〕『說文』果名。『爾雅・釋木』劉劉杙。《註》劉子生山中、實如棃、酢甜、核堅。出交趾。
又『爾雅・釋宮』樴謂之杙、橜也。『左傳・襄十七年』臧堅以杙抉其傷而死。
又所以格獸也。『莊子・人閒世』拱把而上、求狙猴之杙者斬之。
『韻會』『說文』橜杙字本作弋、果名作杙、今橜弋字作杙、而弋但爲弋獵字矣。
音訓義
- 音
- ヨク(漢) イキ(呉)⦅一⦆
- 訓
- くひ⦅一⦆
- 官話
- yì⦅一⦆
- 粤語
- jik6⦅一⦆
- dak6⦅二⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・入聲・職・弋』與職切
- 『集韻・入聲下・職第二十四・弋』逸織切
- 『五音集韻・入聲卷第十五・職第六・喻四弋』與職切
- 聲母
- 喩(喉音・次濁)
- 等呼
- 四
- 官話
- yì
- 粤語
- jik6
- 日本語音
- ヨク(漢)
- イキ(呉)
- 訓
- くひ
- 義
- くひ。牛馬を繫ぐくひ。
- 木の名。果物の名。
- 釋
- 『廣韻』
杙: 果名如棃。亦橜也。
- 『集韻』
杙樴職: 『說文』劉杙。或作樴職。
- 『康煕字典』上揭。
⦅二⦆
- 粤語
- dak6
- 私註
- 樴に同じく讀むものか。
解字
白川
形聲。聲符は弋。弋は杙の形。
『說文』に劉劉なり
とあり、『爾雅・釋木』にいふ劉杙、柘榴の一種で、南方交趾(現・越南北部)に産する。
また『爾雅・釋宮』に樴、謂之杙
(樴、之を杙と謂ふ)とあり、樴は杙と聲義同じ。表木として植てる杙を樴といふ。
藤堂
落合
漢字多功能字庫
金文は木と弋に從ひ、人名に用ゐる。䧹侯簋䧹侯乍(作)生杙姜𱀵(尊)簋。
小篆は木に從ひ弋聲。『說文』は杙を木名とする。また『爾雅・釋木』に劉、劉杙。
とあり、郭璞注に「劉子生山中、實如梨、酢甜、核堅、出交趾。」」といふ。
橛杙(木樁; 木のくひ)を表す杙の象形初文は弋につくり、後に多く杙に作る。杙は弋の後起字と見ることができて、弋に表意の偏旁の木を加へたもの。くひを表す杙と『說文』に錄する杙とを一字と見る必要はなく、同じ形であるだけの可能性もある(裘錫圭)。
くひを表す杙の例は次のとほり。
- 《馬王堆帛書.五十二病方》第218行
輒接杙垣下、以盡二七栻而巳(已)。
接杙垣下とは木杙を城垣(城壁)の下に插入するの意。 - 『呂氏春秋・節喪』
譬之若瞽師之避柱也、避柱而疾觸杙也。
屬性
- 杙
- U+6759
- JIS: 1-59-27