囟 - 漢字私註
説文解字
頭會、匘蓋也。象形。凡囟之屬皆从囟。
- 十・囟部
或从肉、宰。
- 別條に揭出する。
古文囟字。
説文解字注
頭會匘葢也。首之會合處。頭𩪦之覆葢。玄應引葢下有頟空二字。頟空、謂頟腔也。『〔禮記〕內則・注』曰、夾𦥓曰角。象形。『內則・正義』引此云、𦥓、其字象小皃腦不合也。按《人部》兒下亦云、从儿、上象小皃頭腦未合也。『九經字㨾』曰、『說文』作𦥓。隸變作龱。鬛腦等字从之。細思等字亦从之。攷夢英書偏傍石刻作。宋刻書本皆作𦥓。今人楷字譌囟。又改篆體作。所謂象小皃腦不合者、不可見矣。息進切。十二部。凡𦥓之屬皆从𦥓。
或从肉宰。葢俗字。
古文𦥓字。『內則・正義』所引『說文』疑在此字之下。
康煕字典
- 部・劃數
- 囗部三劃
- 古文
- 𠙷
- 𦞤
- 䪿
- 顖
『廣韻』息晉切『集韻』思晉切、𠀤音信。『說文』頭會腦蓋也。象形。『魏校曰』頂門也。子在母胎、諸竅尚閉、唯臍內氣、囟爲之通氣、骨獨未合。旣生、則竅開、口鼻內氣、尾閭爲之洩氣、囟乃漸合、隂陽升降之道也。『方書』頂中央旋毛中爲百會、百會前一寸半爲前頂、百會前三寸卽囟門。
又『集韻』息忍切、信上聲。又息利切、音四。義𠀤同。
- 部・劃數
- 凵部二劃
『玉篇』古文囟字。註見囗部三畫。
- 部・劃數
- 頁部六劃
『集韻』囟古作䪿。註詳囗部三畫。
- 部・劃數
- 頁部十劃
『集韻』囟古作顖。註詳囗部三畫
異體字
或體。
音訓
- 音
- シン(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・震・信』息晉切〉[xìn]{seon3}
- シ(漢、呉) 〈『集韻』息利切、音四、去聲〉
- 訓
- ひよめき。をどりこ。
解字
白川
象形。頭のはちの形に象る。
『説文解字』に頭會、匘蓋なり
とあり、頭骨の覆蓋の縫合部。幼兒のときには柔らかく、ひよめき、をどりこと呼ばれる。
字はまた𦞤、𠙷に作る。
藤堂
象形。頭蓋骨の上の割れ目を描いたもの。
思(頭と心で考へる)や細(絲や囟門の隙間のやうに細い)に含まれる。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、嬰兒の頭頂骨の隙間の未だ合はざるところに象る。頭頂部の前方の正中の部位に在り、腦門のことで、また囟腦門兒と稱する。思は、囟に從ふ字で、田に從ふ字ではない。
甲骨文では語氣の副詞に用ゐ、これは話者が述べるところの命題に對して情理の面から作出する一種の推測あるいは推斷で、義は應や當である(沈培)。
- 扶風黃堆齊家西周卜骨
其禱、囟有瘳。
は、禱告すれば(したので)疾病は全快し好轉すべき(する筈)であるの意。 - 《周原甲骨文》H11:96
囟亡(無)咎。
は、災禍あらざるべし、の意。
金文での用義は次のとほり。
- 斯の通假字となし、語氣の助詞に用ゐる。師詢簋
詢其萬囟(斯)年、子子孫孫永寶。
『詩・大雅・下武』於萬斯年、受天之祜。
- 人名に用ゐる。長囟盉
穆王蔑長囟
は、穆王が長囟を勵ますことをいふ。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 應、當を表す。《上博竹書七・鄭子家喪》甲本簡2
於含(今)而𨒥(後)、楚邦囟(思)爲者(諸)侯正
は、今後、楚國は諸侯を主宰すべきである、の意(復旦研究生讀書會)。 - 使の通假字となす。《上博竹書七・鄭子家喪》甲本簡4-5
將必囟(使)子家毋以城(成)名立(位)於上而烕(滅)炎(嚴)於下。
は、子家をして、上にあつては名譽や地位を成就させしめず、下にあつては威嚴を喪失せしめる、の意。
屬性
- 囟
- U+56DF
- JIS: 2-4-53
- 𠙷
- U+20677
- 䪿
- U+4ABF
- 顖
- U+9856
- JIS: 1-93-94
- 𦥓
- U+26953
関聯字
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