丮 - 漢字私註

説文解字

丮
持也。象手有所丮據也。凡丮之屬皆从丮。讀若𢧢。
丮部

康煕字典

部・劃數
丨部・三劃

『唐韻』几劇切『集韻』訖逆切、𠀤音戟。『說文』丮、持也、象手有所丮據也。讀若戟。『元包經』丮之摭。《傳》手之掇也。

○按『說文』『玉篇』丮𡙕音義小別。𡙕、捕罪人也。从丮从㚔。之入切。

音訓

反切
廣韻・入聲・陌・戟』几劇切
ケキ(漢)
とる
もつ

解字

白川

象形。手に物を持つ形。

『説文解字』に持つなりと訓じ、手の丮據する所有るに象るなりとする。拳握の意とするものであらうが、卜文の字形では高く揭げ持つ形である。

たとへば揚の金文形は⿰⿱日丂丮に作り、玉を奉じて魂振りする形、祝にも丮に從つて神位を拜する形に作るものがある。

「丮據」は拮据と同じく、爪を立てるやうに指先に力を入れて、手先を使ふことをいふ。

藤堂

象形。人が兩手を前に差し出してゐる形を描いたもの。

、孰、勢、などの丸、築、恐などの凡はその變形。

落合

象形。甲骨文は、坐つた人が手を前に出した形。立つた人が手を前に出した形や、棒狀の物を持つた形もある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 祭祀名。《合集》34399辛酉貞、在…𫪋、其丮。
  2. 地名またはその長。《合補》1272貞、令宁丮歸。
  3. 吉凶判斷の語。詳細不明。《合集》17795…占曰、丮、有告。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、人が跪坐しあるいは身を屈め、兩手を前に伸ばし、握持する所ある形に象る。本義は握持。小篆は既に變形を經てゐる。

一説に、丮は兩手を高く擧げて拜跪して祈り、奉獻する形に象るといふ。

殷人は鬼を尚び、自然崇拜を盛んに行つた。周人は文を尚び、祭祀や功を頌へる儀文があつた。夙、祝、揚はいづれもこれに從ふ。丮は甲骨文、金文で多く字の要素として用ゐられ、手の形を強調した人の形に象り、手を用ゐて取つたり受けたりする動作を表す。丮は金文ではまた揚の省文として見える。班簋丕顯丮(揚)皇公受京宗懿釐は、頌揚を表す。

屬性

U+4E2E
JIS: 2-1-7

関聯字

丮に從ふ字を漢字私註部別一覽・丮部に蒐める。