爻 - 漢字私註
説文解字
交也。象『易』六爻頭交也。凡爻之屬皆从爻。
- 三・爻部
説文解字注
交也。㬪韵。『〔易〕𣪠辭』曰、爻也者、效天下之動者也。象易六爻頭交也。胡茅切。二部。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』胡茅切『集韻』『韻會』『正韻』何交切、𠀤音肴。『說文』交也。象易六爻頭交也。『易・繫辭』爻者、言乎變者也。又爻也者。效此者也。又爻也者。效天下之動者也。
又『集韻』後敎切、音斆。本作效。象也。一曰功也。或作傚効。通作詨。『正韻』易、爻法之謂坤。陸音胡孝切。按【易・繫辭】今文作效。
音訓
- 音
- カウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・肴・肴』胡茅切〉[yáo]{ngaau4}
- 訓
- まじはる
解字
白川
象形。木を交叉した形に象る。千木形式の屋根を持つ建物の形。
『説文解字』に交はるなり
と訓じ、『易』の六爻の頭の交はるに象るなり
といふ。
金文の圖象に、二爻あるいは三爻を重ねる形のものがあり、易の卦爻と關係があるかも知れない。
卜文に學の初文とする字と近く、學、校、教はその系列の字。
藤堂
會意。×印を二つ合はせて、交叉することを示したもの。
落合
抽象的に文字を表した記號。甲骨文では教育施設を象徵して用ゐられてゐる。甲骨文に「字」字はなく、「文」字も文字の意味では使はれてゐない。
甲骨文には略體の㐅も見える。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名。殷金文の圖象記號にも見える。《合集》6
庚寅卜貞、翌辛卯、王[⿱八魚]爻、不雨。八月。
- 祭祀名。《合補》10418
癸巳貞、侑勺、伐于伊、其㐅(爻)大乙…。
- 爻戊
- 祭祀對象。學戊の別稱であらう。《甲骨綴合集》234
貞、侑于爻戊
漢字多功能字庫
古人は竹木の小片を計算や占卦に常用し、字は竝べた竹木の小片の形に象る(沈培)。本義は筮で運命を見て占ひを進めること。傳世文獻では多く爻で『易』の卦を構成し、陰爻と陽爻に分かつ。三爻を組み合はせて一卦を成し、八卦を得る。八卦を相疊し六爻を組み合はせて六十四卦を得る。『易・繫辭上』爻者、言乎變者也。
徐中舒、季旭昇は、爻字は㐅を重ねる形に從ひ、㐅は五の初文、字は縱横交錯する形に象り、縦横交錯する意を表す、とする。
また、傳世文獻では效を以て爻を釋することがある。『廣雅・釋詁三』爻、效也。
王念孫疏證〈繫辭傳〉云、「爻也者、效此者也。」又云「爻也者、效天下之動者也。」又「效法之謂坤。」古本皆作爻。是爻、效同聲同義。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、筮を用ゐて占ふことを指す。《合集》13705
爻馬、亡(無)疾。
は、馬を占ひ、疾病なし、の意。 - 氏族名に用ゐる。《合集》9268正
爻入……
。 - 字をまた讀んで學となし、人名に用ゐる。《合集》3397
㞢(侑)于爻(學)戊。
「學戊」は殷の先王時代の巫師で、卜辭は學戊に對して侑祭を行ふの意。
金文での用義は次のとほり。
- 族氏名に用ゐる。爻父丁𣪕
爻、父丁。
- 用ゐて䡈となし、車箱の兩旁の車欄の上の橫木を指す。白䢅鼎に記す王の賞賜物の中に「幬爻(䡈)」の語があり、䡈を覆ふものを表す。傳世文獻に多く較に作る。『說文解字』䡈字條
車騎上曲銅也。从車、爻聲。
屬性
- 爻
- U+723B
- JIS: 1-64-11
關聯字
爻に從ふ字を漢字私註部別一覽・爻部に蒐める。