敎 - 漢字私註
説文解字
上所施下所效也。从攴从𡥈。凡敎之屬皆从敎。古孝切。
- 三・敎部
- 𧧿
古文敎。
- 𤕝
亦古文敎。
説文解字注
上所施下所效也。教效㬪韵。从攴𡥈。𡥈見《子部》、效也。上施故從攵。下效故從𡥈。古孝切。二部。凡敎之屬皆从敎。
- 𧧿
古文敎。右从古文言。
- 𤕝
亦古文敎。從攴從爻。
康煕字典
- 部・劃數
- 攴部七劃
- 古文
- 𤕝
- 𧧿
『廣韻』古孝切『集韻』『韻會』『正韻』居效切、𠀤音較。『說文』作敎上所施、下所效也。『釋名』敎、效也、下所法效也。『廣韻』敎訓也。『玉篇』敎令也。『易・觀卦』聖人以神道設敎。『書・舜典』敬敷五敎在寬。《傳》布五常之敎。又『禮・王制』明七敎以興民德。《註》七敎、父子、兄弟、夫婦、君臣、長幼、賔客、朋友也。『周禮・地官・司徒』使帥其屬、而掌邦敎。《註》敎所以親百姓、訓五品、有虞氏五、而周十有二焉。『禮・曲禮』敎訓正俗、非禮不備。『荀子・脩身篇』以善先人謂之敎。
又『蔡邕・獨斷』諸侯言曰敎。『正字通』諭告之詞、其義與令同也。
又『廣韻』古肴切『集韻』『韻會』『正韻』居肴切、𠀤音交。義同。
- 部・劃數
- 子部・四劃
『字彙補』加孝切、音敎。引【佩觿集】、𡥉、導也。與孝𡥈不同。
- 部・劃數
- 爻部四劃
『集韻』敎古作𤕝。註詳攴部七畫
- 部・劃數
- 言部七劃
『集韻』敎古作𧧿。註詳攴部七畫。『字彙』敎本从言、以言敎之也。
廣韻
- 卷・韻・小韻
- 下平聲・肴・交
- 反切
- 古肴切
效也。
又古孝切。
- 卷・韻・小韻
- 去聲・效・敎
- 反切
- 古孝切
敎訓也。又法也。語也。『元命包』云、天垂文象、人行其事、謂之敎、敎之爲言傚也。
古孝切。十一。
- 卷・韻・小韻
- 去聲・效・敎
- 反切
- 古孝切
古文。
集韻
- 卷・韻・小韻
- 平聲三・爻第五・交
- 反切
- 居肴切
令也。
異體字
或體。
音訓
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・效・敎』古孝切
- 官話
- jiào
- 粤語
- gaau3
- 日本語音
- ケウ(呉) カウ(漢)
- 訓
- をしへる。をしへ。しむ。せしむ。
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・肴・交』古肴切
- 『集韻・平聲三・爻第五・交』居肴切
- 官話
- jiāo
- 粤語
- gaau1
- 訓義
- ⦅一⦆に同じ
解字
白川
爻と子と攴の會意。爻は屋上に千木のある建物。そこに子弟が學んだので、𡥈は學の初文。古代のメンズハウスは神社形式に近い建物であつたらしく、そこに貴族の子弟達を集め、長老達が傳統や儀禮の教育をした。
卜辭に多方(多邦)の小子、小臣(貴族の子弟)を集めて教戒することを卜する例がある。
金文の《大盂鼎》にも王が「小學に卽く」ことを記してをり、他に「學宮」の名の見えるものもある。
周代教學の制度は『周禮・春官・大司樂』『禮記・文王世子』などに記すところが參考となる。
『説文解字』に上の施す所は、下の效ふ所なり
と敎、效の聲韻の關係を以て訓じ、字を孝に從ふとするが、孝は老の省文に從ふもので、爻とは關係がない。
𡥈に攴を加へ、また𦥑を加へた字は斅。攴は教權の鞭を示す。
藤堂
もと攴(動詞の記號)と音符爻(まじへる)の會意兼形聲で、更に子を加へた字もある。子供に對して、智識の受け渡し、つまり交流を行ふこと。
落合
爻、子、攴に從ひ、子供を教育することを意味する字。攴は恐らく教鞭。爻は教育施設を象徵する。爻亦聲。(甲骨文の)異體字には子を省略したものなどがある。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名。甲骨文では主に軍事駐屯地として記されてゐる。《合集》5617
呼多朿尹次于敎。
- 何組の貞人名。《甲骨綴合集》364
癸亥卜敎貞、旬亡禍。
漢字多功能字庫
甲骨文は攴と子と爻に從ひ、爻は亦聲符。攴は教鞭に象り、手に教鞭を執り、籌策(はかりごと)を弄し、子供に計數や算卦を教導すると解く(沈培)。本義は教導。古く敎、學、斆の三字は、教へを施すこと、學を受けることの兩方の意義を表した。『尚書・說命』斅學半
の斅は即ち教字。教導は學習の一半(一部分)、つまり、教へを施すことは、教師の學習を促進するの意。今でも「教學相長」といふ。
金文はあるいは攴と學とに從ふ。學は敎の聲符でありまた意符でもある。戰國竹簡ではあるいは子に從はず言に從ふが、これは言教(言葉で教育すること)に專用する字である。
甲骨文では人名、地名に用ゐる。
金文では本義に用ゐる。中山王鼎越人修斆(教)備信
は、越國の人民は文教を修養し、誠信を具備するの意。『穀梁傳』脩教明諭、國道也。
戰國竹簡でも本義に用ゐる。
- 信陽長臺觀2號墓1組簡3
教箸
は「教書」のこと。『漢書・宣帝紀』以私錢供給教書。
- 《郭店楚簡・老子甲》簡17
行不言之教
。 - 《睡虎地秦簡・為吏之道》簡24
民之既教
。 - 《睡虎地秦簡・語書》簡2-3
凡灋(法)律令者、以教道(導)民
。 - 《包山楚簡》簡99
教令
は、訓誡、命令を表す。『漢書・文帝紀』上親勞軍、勒兵、申教令。
小篆は𡥈(爻、子)と攴に從ふ。孝聲に從つて作る教字は後に誤つた形。
屬性
- 敎
- U+654E
- 𡥉
- U+21949
- 𤕝
- U+2455D
- 𧧿
- U+279FF
- 𢼂
- U+22F02
- 教
- U+6559
- JIS: 1-22-21
- 當用漢字・常用漢字