滂 - 漢字私註
説文解字
- 滂
- あるいは𣶢に作る。
沛也。从水㫄聲。
- 註に
臣鉉等曰、今俗别作霶霈、非是。
といふ。 - 十一・水部
説文解字注
- 滂
沛也。『〔詩〕小雅〔漸漸之石〕』曰、俾滂沱矣。从水旁聲。普郎切。十部。
康煕字典
- 部・劃數
- 水部十劃
『唐韻』『正韻』普郎切『集韻』『韻會』鋪郎切、𠀤音霶。『說文』沛也。『詩・小雅』俾滂沱矣。
又水名。『山海經』虖勺之山、滂水出焉。
又滂洋、饒廣也。『前漢・郊祀歌』福滂洋。
又淜滂、風擊物聲。『宋玉・風賦』飄忽淜滂。
又滂人、掌山澤之官。『淮南子・時則訓』令滂人納材葦。
又『韻會』『正韻』𠀤普浪切、義同。
又『集韻』披庚切、音澎。與洴泙同。水聲。『史記・司馬相如傳』洶湧滂㵒。
又『集韻』蒲光切、音傍。水流聲。『前漢・司馬相如傳』滂濞沆漑。郭璞讀。
- 部・劃數
- 水部八劃
『字彙補』與滂同。
音訓
- 音
- (1) ハウ(漢、呉) バウ(慣) 〈『廣韻・下平聲・唐・滂』普郎切〉[pāng]{pong1/pong4}
- (2) ハウ(漢) ヒャウ(呉) 〈『集韻』披庚切、音澎、平聲庚韻〉
- 訓
- (1) ひろい(滂洋)。あまねし。
音(2)は水の音をいふときに用ゐる。泙に同じ。
解字
白川
形聲。聲符は旁。旁に旁及、滂薄の意がある。
『説文解字』に沛なり
とあり、滂沛は雙聲の連語で、水勢などの盛んなことをいふ。
滂沱は大雨、また滂湃、滂薄のやうに連語として用ゐる。
藤堂
水と音符旁(上下左右に張り出る)の會意兼形聲。水が四方に擴がる意。溥の語尾がŋに轉じた言葉。
漢字多功能字庫
水に從ひ旁聲。本義は水勢廣大なるさま。盛大、滂薄の意を派生する。
本義は水勢が盛多、豐沛(十分、豐富)なさま。徐鍇『說文解字繫傳』水廣及皃
。『字彙』滂、滂沱、大雨也。
先秦石刻文字に既に水大を表す滂が見える。
- 『石鼓文・霝雨』
流迄滂滂
の「滂滂」は水勢盛大なるさまの形容。いま「滂沱大雨」の滂がなほ本義を保留する。
金文では、多い、盛大の意を表す。
- 冶仲考父壺
用祀用鄉(饗)、多福滂滂
は、この青銅の壺を祭祀に用ゐ、用ゐて祭品を獻上し、福德は盛多で、廣大無邊である、の意。
屬性
- 滂
- U+6EC2
- JIS: 1-62-81
- 𣶢
- U+23DA2