墟 - 漢字私註
説文解字
虛字條の註に臣鉉等曰、今俗別作墟、非是。
といふ。
康煕字典
- 部・劃數
- 土部・十二劃
『唐韻』去魚切『集韻』『韻會』『正韻』丘於切、𠀤音虛。『說文』大丘也。『禮・檀弓〔下〕』墟墓之閒、未施哀于民而民哀。
又故城。『帝王世紀』瞍妻握登生舜于姚墟、故得姓姚氏。『左傳・昭七年』謝息遷桃。《註》魯卞縣東南有桃墟、世謂之陶墟、相傳舜所陶處。『竹書紀年』盤庚自奄遷朝歌、遂曰殷墟。
又大壑。『列子・湯問篇』渤海之東有大壑焉、名曰歸墟。『木華・海賦』南澰朱厓、北灑天墟。
又商賈貨物輻湊處、古謂之務、今謂之集、又謂之墟。
又叶偶舉切、音語。『詩・邶風』升彼墟矣。叶下楚。
音訓義
- 音
- キョ(漢) コ(呉)⦅一⦆
- 訓
- あと⦅一⦆
- 官話
- xū⦅一⦆
- 粤語
- heoi1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・魚・虚』去魚切
- 『集韻・平聲一・魚第九・虛』丘於切
- 『五音集韻・上平聲卷第二・魚第七・溪・三虛』去魚切
- 聲母
- 溪(牙音・次清)
- 官話
- xū
- 粤語
- heoi1
- 日本語音
- キョ(漢)
- コ(呉)
- 訓
- あと
- 義
- 大丘。墟土は丘陵の地。墟壘は堡壘。(古今文字集成を參照。以下も同樣。)
- 廢墟。故城。また毀つて廢墟にすること。
- 墳墓。
- 郷村(農村部)に立つ市。墟市。墟集。
- 場所。
- 村落。
- 奴隸として使役すること。
解字
白川
形聲。聲符は虛。虛は廢墟、墳丘の意で墟の初文。『説文解字』に墟を收めず、虛、墟は同字。
『禮記・檀弓下』に墟墓の閒には、未だ哀を民に施さざるも民哀しむ。
と見える。
安陽の殷墟を、また殷虛といふ。
藤堂
土と虛(くぼみ)の會意兼形聲。虛は、㐀(くぼみ)と音符虍の形聲字。墟は、地上に殘つた廢墟。
漢字多功能字庫
土に從ひ虛聲。もとは虛に作り、後に意符の土を加へる。本義は大丘。『玉篇・土部』墟、大丘也。
- 『山海經・海內西經』
崑崙之墟、方八百里、高萬仞。
- 『文選・顏延年・赭白馬賦』
覲王母於崑墟、要帝臺於宣嶽。
故城、遺址(遺蹟)を表す。『廣雅・釋詁二』墟、尻(居)也。
王念孫疏證邱、墟皆故所居之地。
- 『戰國策・齊策六』
臣以五里之城、七里之郭、破亡餘卒、破萬乘之燕、復齊墟。
」 - 『史記・李斯列傳』
紂殺親戚、不聽諫者、國為丘墟、遂危社稷。
動詞として廢墟となることを表す。『史記・越王句踐世家』子胥言曰、王不聽諫、後三年吳其墟乎。
また廢墟となさしむることを指す。南宋・辛棄疾〈九議〉之三不過虜吾民、墟吾城、食盡而去耳。
また墳墓を表す。『字彙・土部』墟、墟墓。
- 『禮記・檀弓下』
墟墓之間、未施哀於民而民哀。社稷宗廟之中、未施敬於民而民敬。
- 『文選・潘安仁・悼亡詩』
徘徊墟墓間、欲去復不忍。
村落を表す。
- 晉・陶潛〈歸園田居〉
暖暖遠人村、依依墟里煙。
- 唐・王維〈渭川田家〉
斜陽照墟落、窮巷牛羊歸。
市集(市)を表す。『正字通・土部』墟、今俗商賈貨物輻湊處謂之墟、亦謂之集。
- 南宋・范成大〈清逸江〉
晨興過墟市、喜有魚蝦賣。
- 清・蒲松齡『聊齋志異・鴞鳥』
周村為商賈所集、趁墟者車馬輻輳。
屬性
- 墟
- U+589F
- JIS: 1-52-50