虢 - 漢字私註
説文解字
虎所攫畫明文也。从虎寽聲。
- 五・虎部
説文解字注
虎所攫畫明文也。攫者㕚所扟也。畫者㕚所劃。故有明文也。虢字本義久廢、罕有用者。从虎寽。各本衍聲字。今正。寽在十五部。虢在五部。非聲也。《𠬪部》曰、寽、五指寽也。虎所攫畫。故从虎寽會意。今音古伯切。
康煕字典
- 部・劃數
- 虍部・九劃
『唐韻』『正韻』古伯切『集韻』郭獲切、𠀤音𧭣。『說文』虎所攫畫明文也。
又國名。『廣韻』周封虢仲于西虢、秦屬三川郡、唐武德中爲虢州。『左傳・隱元年』虢叔。《註》虢國、今滎陽縣。應劭曰、今虢亭是也。又『昭七年』齊侯次于虢。《註》虢、燕境。
又姓。『左傳』晉大夫虢射。『高誘・戰國策註』虢卽古郭氏。
音訓・用義
- 音
- クヮク(漢) 〈『廣韻・入聲・陌・虢』古伯切〉[guó]{gwik1}
國名に用ゐる。
虢國夫人は楊貴妃の姉の稱。
解字
白川
『説文解字』に虎の攫畫する所の明文なり
とするが、文義が明らかでなく、《段注》に虢字の本義久しく廢して、用ふるもの有ること罕なり。
といふ。
金文の字形に據ると、虎皮を剝取して治める形。金文の賜與に「朱虢旂」の語が見え、旗桿に虎皮を捲いて飾つたものであらう。
字はまた鞟、鞹に作り、『論語・顏淵』に虎豹之鞟
とあり、車軾(補註: 車の前部の橫木)の中央に卷く皮を鞹鞃といふ。
藤堂
漢字多功能字庫
甲骨文や早期金文は虎と攴に從ひ、手に棍棒を持ち虎を擊つ、あるいは捕らへるの意。西周中期以後、金文は攴の上に爪の形を加へる。林義光、張日昇は、一手に虎を執り、一手に武器を持つて虎皮の毛を除去するさまに象り、鞹の初文、本義は皮革、とする。
金文での用義は次のとほり。
- 人名や國名に用ゐる。『漢書・地理志』
北虢在大陽、東虢在滎陽、西虢在雍。
- 讀みて鞹となし、毛を取り除いた熟皮(鞣し革)を表す。彔白簋
朱虢靳
は、紅色の鞣し革を用ゐた靳を表す。靳は胸懸。轅につける馬の胸の前につける革紐のこと。
屬性
- 虢
- U+8662
- JIS: 1-91-48
- JIS X 0212: 58-34