爪 - 漢字私註
説文解字
丮也。覆手曰爪。象形。凡爪之屬皆从爪。側狡切。
- 三・爪部
説文解字注
𠃨也。𠃨持也。覆手曰爪。仰手曰掌。覆手曰爪。今人以此爲㕚甲字。非是。㕚甲字見又部。《䖵部》𧎮字下云、㕚古爪字。非許語也。象形。側狡切。二部。凡爪之屬皆从爪。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 㕚
『唐韻』『集韻』𠀤側絞切、音抓。『說文』覆手曰爪。『詩・小雅』祈父子王之爪牙。『周禮・冬官考工記・梓人』凡攫閷援簭之類、必深其爪、出其目、作其鱗之而。『廣韻』手足甲也。『集韻』本作㕚。或作蚤搔。○按『韻會』云、『說文』爪本爲抓爪之爪、非手足甲也。亦太迂泥、不可从。
又『集韻』『類篇』𠀤阻敎切、音笊。『集韻』覆手取物。一曰扟也。
音訓
- 音
- サウ(漢) 〈『廣韻・上聲・巧・爪』側絞切〉[zhǎo/zhuǎ]{zaau2}
- 訓
- つめ
解字
白川
象形。鳥獸などの長爪の形を象る。手下に隱されてゐる長爪をいふ。
金文に「爪牙」の語が見えるが、その爪は㕚の形に書かれてゐる。
強ひて分別すれば、爪は鳥爪、㕚は掌中に隱されてゐる獸爪の形であらう。
藤堂
爪は手を伏せて指先で物を摑むさまを示し、抓の原字。
「つめ」の意の字は㕚。手の指先に二點で印を附け、爪のある所を表したもの。
しかし普通には爪を「つめ」の意に用ゐ、㕚は寧ろ「搔く」の意に用ゐるやうになつた。
落合
象形。手を側面から見た形。
字の要素としては手を正面から見た又と同樣に使はれることが多い。
甲骨文では單獨では缺損片や短文にしか見えず、字義は不明。殷金文では圖象記號に見え、地名あるいはその長かも知れない。
漢字多功能字庫
甲骨文は、下を向く手、覆手の形を象る。金文は手と、鋭い指爪の象に從ふ。鳥獸あるいは人の指爪と理解できる。
説文解字には丮也。
とあり、丮は執り持つの義を有し、爪もまた拿取(取る、摑む)の意を有す。甲骨文、金文に爪字は見えること少なく、爫のやうに多く字の要素に用ゐ、覆手の形を象り、覆手で物を取ることを示す。
金文に「爪牙」の語があり、鋭い爪や牙で喩へて有力な武臣を表す。
- 師克盨
干(捍)害(禦)王身,乍(作)爪牙。
- 『詩・祈父』
祈父。予王之爪牙。
- 『左傳・成公十二年』
以為己腹心、股肱、爪牙。
後に手を加へた抓字で、捕まへることを表す。
爪と丑は同形。
屬性
- 爪
- U+722A
- JIS: 1-36-62
- 常用漢字(平成22年追加)
関聯字
爪に從ふ字を漢字私註部別一覽・爪部に蒐める。