躬 - 漢字私註
説文解字
身也。从身从呂。
- 七・呂部
躳或从弓。
説文解字注
身也。『廣雅』同。从呂从身。从呂者、身以呂爲柱也。矦執信圭〔註1〕、伸圭人形直。伯執躳圭〔註1〕、躳圭人形曲。鞠躳者、斂曲之皃也。居戎切。九部。
俗从弓身。弓身者、曲之會意也。
- 註1: 圭字條に
侯執信圭、伯執躳圭、皆七寸。鄭曰、信當爲身。身圭、躬圭、皆𧰼以人形爲瑑飾。九寸、七寸、謂其長也。
とする。また『周禮・春官・大宗伯』に以玉作六瑞、以等邦國。王執鎮圭、公執桓圭、侯執信圭、伯執躬圭、子執穀璧、男執蒲璧。
とする。
康煕字典
- 部・劃數
- 身部・三劃
『唐韻』居崇切『集韻』『韻會』居雄切、𠀤音弓。『說文』躳或从弓、身也。『五經文字』躬、俗躳字。今經典通用。『易・蒙卦』見金夫不有躬。又『艮卦』艮其身、止諸躬也。《疏》躬、猶身也。『書・太甲』惟尹躬克、左右厥辟。『詩・邶風』我躬不閱。
又『周禮・春官・大宗伯』伯執躬圭。《註》以人形爲瑑飾。
又姓。『廣韻』出『何氏姓苑』。
又『韻補』叶姑弘切『易・震卦』不于其躬、于其鄰。『班固・東都賦』登靈臺考休徵、俯仰乎乾坤、參象乎聖躬。
又叶俱王切。『𨻰琳・大荒賦』延年其可留兮、何勤遠以苦躬。紛吾情之駘蕩兮、嗟吾願有弗遑。
- 部・劃數
- 身部・七劃
『唐韻』居崇切『集韻』『韻會』居雄切、𠀤音弓。『說文』身也。从身、从呂。《註》徐曰、呂、古膂字、象人垂骨之形。或从弓。
音訓
- 音
- キュウ(漢) 〈『廣韻・上平聲・東・弓』居戎切〉[gōng]{gung1}
- 訓
- み。みづから。
解字
白川
躬は形聲字。聲符は弓。
『説文解字』に字を呂部に屬して躳に作り、身なり。身に從ひ、呂に從ふ。
と會意とし、別に一體として躬を擧げる。呂は脊骨、脊椎の象。
漢碑に躬に作るものが多く、躳はその誤形であらうと思はれる。
藤堂
躬は、身と音符弓(弓形に曲がる)の會意兼形聲で、屈曲する身體。
漢字多功能字庫
躬はもと躳に作り、身と呂に從ふ。呂は脊骨の形に象る。甲骨文、金文に躬字は見えず。戰國楚文字はみな呂に從ふ。躬は躳の或體。身と弓に從ふ。弓は身體の形に象り、亦た聲を表す。本義は身體。『説文解字』躳、身也。(後略)
『爾雅・釋詁上』躬、身也。
- 『尚書・牧誓』
爾所弗勗、其于爾躬有戮。
《孔傳》臨敵所安、汝不勉、則於汝身有戮矣。
「勗」は「勖」に同じく、勉力、努力を表す。 - 『呂氏春秋・孝行』
身者非其私有也、嚴親之遺躬也。
引伸して自己を表す。
- 『論語・衛靈公』
躬自厚而薄責於人、則遠怨矣。
- 『禮記・樂記』
好惡無節於內、知誘於外、不能反躬、天理滅矣。
鄭玄注躬、猶己也。
自己から引伸して自らの意を表す。
- 『儀禮・士昏禮』
宗子無父母之命、親皆沒、己躬命之。
鄭玄注躬、猶親也。
- 『戰國策・韓策一』
公仲躬率其私徒以鬭於秦、願公之熟計之也。
公仲は自ら子分を率ゐて秦と鬪ひ、君主に注意深く細やかに考慮するやう希望した、の意。 - 《上博竹書五・姑成家父》簡1、6
躬與(舉)士處[土官](官)、旦夕治之、思(使)又(有)君臣之節。
「躬舉士處官」は自ら賢才を推擧し官位に就かしむこと(曹銀晶)。
また屈む動作(あるいは身體を曲げる動作)を表す。
- 『管子・霸形』
桓公變躬遷席、拱手而問。
- 『淮南子・人間』
斂躬而行、至於吳、見太宰嚭。
- 身を曲げる動作は多く恭敬謹愼のさまを表す。『漢書・馮奉世傳』
宜鄉侯參鞠躬履方、擇地而行、可謂淑人君子。
顏師古注鞠躬、謹敬貌。
通じて窮となす。
- 『大戴禮記・哀公問五義』
躬為匹夫而不願富、貴為諸侯而無財。
孔廣森補注躬、讀為窮。
- 馬王堆帛書《戰國縱橫家書・朱己謂魏王章》164-165行
皆識秦【之欲無】躳(窮)也、非盡亡天下之兵而臣海內、必不休。
「躳」を讀んで「窮」となし、窮盡(盡きること)を表す。
屬性
- 躬
- U+8EAC
- JIS: 1-77-27
- 躳
- U+8EB3
- JIS: 2-89-53
- JIS X 0212: 64-48