斤 - 漢字私註
説文解字
斫木也。象形。凡斤之屬皆从斤。舉欣切。
- 十四・斤部
説文解字注
斫木斧也。此依小徐本。凡用斫物者皆曰斧。斫木之斧、則謂之斤。象形。橫者象斧頭。直者象柄。其下象所斫木。舉欣切。十三部。凡斤之屬皆从斤。按此篆象形之下當有「一曰十六兩也」六字。乃與《金部》銖鈞、《㒳部》兩、《禾部》䄷、合成五權。十黍爲絫、附見於絫下。斗二𦫵曰觳、附見於鬲下。『說文』之例正如此。班固說五權曰、斤、明也。卽『爾雅』、《毛傳》之斤斤、察也。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤舉欣切、音筋。『說文』斫木也。『周禮・冬官考工記』宋之斤。『正字通』以鐵爲之、曲木爲柄、剞劂之總稱。『集韻』或作釿。
又『集韻』一曰權輕重之器。『前漢・律歷志』斤者、明也。三百八十四銖。易二篇之爻、隂陽變動之象、十六兩成斤者、四時乗四方之象也。『小爾雅』二鍰四兩謂之斤。《註》六兩爲鍰。
又姓。『廣韻』斤氏、後改爲艾氏。奇斤氏、後改爲奇氏。
又『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤居焮切、音靳。『爾雅・釋訓』明明斤斤、察也。『詩・周頌』斤斤其明。《傳》斤斤、明察也。
又『集韻』許斤切、音欣。斤斤、仁也。
音訓・用義
- 音
- (1) キン(漢) 〈『廣韻・上平聲・欣・斤』舉欣切〉[jīn]{gan1}
- (2) キン(漢) 〈『廣韻・去聲・焮・靳』居焮切〉[jīn]{gan3}
- 訓
- (1) をの。きる。
また音(1)に讀み、重量の單位に用ゐる。
- 現在、中共で500g、臺灣で600g、香港や澳門で約605gとされる。またkgを公斤と稱す。(zhwp:斤)
- 本邦では、1斤 = 16兩 = 160匁 = 600gとされる。現在は食パンに使はれるのみで、その場合は約350g〜400g。(jawp:斤、jawt:斤)
斤斤は音(2)に讀み、明らかなさま、明察するさまをいふ。
解字
白川
象形。斧の形に象る。
『説文解字』に木を斫るなり
とあり、手斧をいふ。
武器に用ゐ、斤を兩手で振り上げてゐる形は兵。兵とは武器をいふ。
また重量の單位として用ゐる。
藤堂
象形。斤は、ある物に斧の刃を近附けて切らうとするさまを描いたもので、斧のこと。
また、その石斧を量りの分銅に用ゐて物の重さを量つたため、目方の單位となつた。
落合
斧の象形。甲骨文には單獨では見えず、字の構成要素として武器の意味または斧による伐採の意味で使はれてゐる。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、曲柄斧に象る。本義は木を伐る斧。甲骨文の斤は曲柄斧の柄と矢のやうに鋭利な刃から成る。金文は刃と柄を分けて書き、象形の意味を段々と失つた。その後も字の構成要素としては斧の義を保留してゐる。度量衡に用ゐるのは假借の用法。
『説文解字』斤、斫木也。(後略)。
《段注》凡用斫物者皆曰斧。斫木之斧、則謂之斤。橫者象斧頭、直者象柄。
王筠『說文句讀』斤之刃橫、斧之刃縱。
これらの説で斤の刃と柄が交叉するといふのは、後世の手斧に相當する(沈培)。
甲骨文での用義は不詳。
金文での用義は次のとほり。
- 地名に用ゐる。征人鼎
才(在)斤
。 - 重量の單位に用ゐる。王子中府鼎
四斤十二兩
。
戰國竹簡では通假して謹愼の謹となす。《上博竹書五・季康子問於孔子》簡7夫義(儀)者、以斤(謹)君子之行也。
は、禮儀は君子の行爲を拘束し、言動を謹ませる、の意。
漢帛書では重量の單位に用ゐる。《馬王堆帛書・養生方》第141行用石膏一斤少半
。
屬性
- 斤
- U+65A4
- JIS: 1-22-52
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
斤に從ふ字を漢字私註部別一覽・斤部に蒐める。