禹 - 漢字私註
説文解字
蟲也。从厹、象形。王矩切。
- 十四・禸部
古文禹。
説文解字注
蟲也。夏王以爲名。學者昧其本義。
从厹。葢亦四足。象形。王矩切。五部。
古文禹。見『漢書』。
康煕字典
- 部・劃數
- 禸部・四劃
- 古文
- 𢁰
- 𥜼
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤王矩切、音羽。夏王號。《顏師古曰》禹湯皆字、三王去唐之文、從高古之質、故夏商之王皆以名爲號。
又姓。『王憎孺・百家譜』蘭陵蕭道游娶禹氏。
又諡法。『史記・裴註』受禪成功曰禹。『書・疏』淵源流通曰禹。
又『玉篇』舒也。
又『說文』蟲也。
- 部・劃數
- 禸部・四劃
『集韻』禹古作𥜼。註詳本畫。
- 部・劃數
- 巾部・四劃
『玉篇』古文禹字。『前漢・藝文志』大𢁰三十七篇。又見雲𥓓。餘詳禸部四畫。
音訓
- 音
- ウ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・麌・羽』王矩切〉[yǔ]{jyu5}
解字
頭部は虫に近い形。虫の身を橫切る形は前脚に象るものか。金文の作例の屈曲の具合を見る限り、橫切る形が九であるとは思ひ難いが、『説文解字』が禸を九聲としてをり、不詳。
想像を逞しくするなら、蜥蜴、山椒魚、鰐のいづれかに象るものであらうが、論證不能につき深入りは避けたい。
白川
虫と九の會意。九は龍の形。雌雄の龍を組み合はせた形で、洪水神の禹を示す。
『説文解字』に蟲なり
とする。
藤堂
象形。後足を踏まへて尾を垂らした、頭の大きい大蜥蜴を描いたもので、もと大蜥蜴の姿をした黃河の水の精。身體をくねらせた龍神のこと。のち、それが儒家によつて人間の聖王に轉化された。
漢字多功能字庫
金文は蟲の形に象り、本義は蟲。後に蟲の身に飾筆を加へる。
『説文解字』禹、蟲也。(後略)
金文では人名に用ゐる。禹は夏王朝を開いた君主で、民を率ゐて水害を治め、舜を繼いで帝となつた。叔尸鐘處禹之堵
。このほか、西周に禹といふ名の人がゐた。例へば、西周厲王のときの人で、字は向父。弔向父禹簋弔向父禹曰、余小子司朕皇考、肈帥井先文且(祖)、共明德、秉威義(儀)。
後世には多く人名に用ゐ、專ら大禹を指す。
屬性
- 禹
- U+79B9
- JIS: 1-67-27
- 𥜼
- U+2573C
- 𢁰
- U+22070
關聯字
禹に從ふ字を漢字私註部別一覽・虫部・禹枝に蒐める。