杓 - 漢字私註
説文解字
枓柄也。从木从勺。臣鉉等曰、今俗作市若切、以爲桮杓之杓。 甫搖切。
- 六・木部
説文解字注
枓柄也。枓柄者、勺柄也。勺謂之枓。勺柄謂之杓。小雅言西柄之揭。『大雅・傳』曰、大斗長三尺。『〔史記〕張儀傳』令工人作爲金斗、長其尾、令可以擊人。『〔史記〕天官書』『〔漢書〕天文志』皆云、杓攜龍角、魁枕參首。北斗一至四爲魁。〔註1〕𧰼羹枓。五至七爲杓。〔註1〕𧰼枓柄也。從木勺聲。甫遙切。二部。按『索隱』引『說文』匹遙反。
- 註1: 『晋書・天文志上』に
北斗七星在太微北、七政之樞機、陰陽之元本也。故運乎天中、而臨制四方、以建四時、而均五行也。魁四星為旋璣、杓三星為玉衡。又曰、鬥為人君之象、號令之主也。又為帝車、取乎運動之義也。又魁第一星曰天樞、二曰璿、三曰璣、四曰權、五曰玉衡、六曰開陽、七曰搖光、一至四為魁、五至七為杓。樞為天、璿為地、璣為人、權為時、玉衡為音、開陽為律、搖光為星。
といふ。
康煕字典
- 部・劃數
- 木部・三劃
『唐韻』『正韻』甫遙切『集韻』『韻會』𤰞遙切、𠀤音標。『說文』斗柄也。『前漢・天文志』一至四爲魁、五至七爲杓。『律志』玉衡杓建天之綱也。
又引也。『淮南子・道應訓』孔子勁杓國門之關而不以力聞。
又繫也。『淮南子・兵略訓』凌人者勝、待人者敗、爲人杓者死。
又『集韻』丁歷切、音嫡。標的也。『莊子・庚桑楚』我其杓之人耶。
又『集韻』多嘯切、音弔。義同。
又『集韻』皮招切、音漂。亦斗柄也。
又『說文』『唐韻』『集韻』市若切『韻會』是若切、𠀤音勺。《徐鉉曰》以爲桮杓之杓、所以抒挹也。『史記・項羽紀』沛公不勝桮杓。『正韻』作裳灼切、誤。
又『唐韻』丁了切、貂上聲。『史記・天官書』杓雲如繩。『索隱』時酌切。
又『篇海』職略切、音勺。橫木橋。
音訓・用義
- 音
- (1) ヘウ(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・宵・飊』甫遥切〉[biāo]{biu1}
- (2) シャク(漢) 〈『廣韻・入聲・藥・妁』市若切〉[sháo]{soek3/zoek3}
- 訓
- (1) ひく
音(1)に讀み、柄杓の柄をいふ。また北斗七星の柄に當たる三星(玉衡(大熊座ε)、開陽(同ζ)、搖光(同η))を指す。
音(2)に讀み、柄杓を表す。
解字
白川
形聲。聲符は勺。
『説文解字』に枓の柄なり
とし、柄杓の柄。また字を會意とし、音を甫搖の切、すなはち「ヘウ」とする。北斗七星の斗柄の部分をいふ語。徐鉉の註記に今俗に市若の切に作り、以て桮杓の杓と爲す
とあり、いまはその義に用ゐる。
『和名抄』に『説文解字』の音を採り、瓢、匏と同系の語とする。
「ひしゃく」は「ひさご」より轉譌した語。
藤堂
木と音符勺(くみ出す)の會意兼形聲で、すくつて拔き出す意を含む。
ヘウと讀むのは、瓢に當てた用法。
落合
屬性
- 杓
- U+6753
- JIS: 1-28-61