虔 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
錯畫也。錯當作逪、逪畫者䢒逪之畫也。『〔周禮〕𦒱工記』曰「靑與赤謂之文」。逪畫之一耑也。逪畫者、文之本義。彣彰者、彣之本義。義不同也。黃帝之史倉頡見鳥獸蹏迒之迹。知分理之可相別異也。初造書契。依類象形、故謂之文。
象交文。像兩紋交互也。紋者、文之俗字。無分切。十三部。
康煕字典
- 部・劃數
- 虍部・四劃
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤渠焉切、音乾。〔音1〕『說文』虎行貌。
又『爾雅・釋詁』虔、固也。『書・呂𠛬』奪攘矯虔。《疏》若固有之。言取得人物、若已自有也。
又敬也。『魯語』少采夕月、與太史司載糾虔天𠛬。
又椹也。『詩・商頌』方斲是虔。
又『博雅』惠也、少也。
又殺也。『左傳・成十三年』虔劉我邊陲。
又『玉篇』强取也。
又端正貌也。
又姓。『通志・氏族略』『風俗通』云、𨻰留虔氏、黃帝之後。
又州名。『韻會』漢豫章郡雩都贑縣、唐置虔州。
又叶眞韻、音勤。『高彪詩』文武將墜、乃俾俊臣。整我皇綱、董此不虔。
音訓義
- 音
- ケン(漢) ゲン(呉)⦅一⦆
- 訓
- かたい⦅一⦆
- つつしむ⦅一⦆
- 官話
- qián⦅一⦆
- 粤語
- kin4⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・仙・乾』渠焉切
- 『集韻・平三・㒨・乾』渠焉切
- 『五音集韻・中平聲卷第四・仙第十一・羣三乾』渠焉切
- 聲母
- 羣(牙音・全濁)
- 開合
- 開
- 等呼
- (重紐)三
- 推定中古音
- ɡɪɛn
- 官話
- qián
- 粤語
- kin4
- 日本語音
- ケン(漢)
- ゲン(呉)
- 訓
- かたい
- つつしむ
- 義
- 固い。虔鞏。
- つつしむ。敬虔。虔恪。虔恭。虔肅。
- 奪ふ。強取する。
- 殺す。虔劉。
- 釋
- 『廣韻』
虔: 恭也、固也、殺也。『說文』曰「虎行皃」。又姓。『陳留風俗傳』云「䖍氏祖於黃帝」。
- 『集韻』
虔: 『說文』虎行貌。一曰、恭也、固也、殺也。
- 『康煕字典』上揭。
解字
白川
『說文』に虎の行く皃なり
とし、文聲とするが、聲義ともに合はない。
金文に夙夜を虔しむ
、「「虔しみて墜さずの語が習見し、字をまた⿱虔廾、唬に作る。《秦公鐘》に朕が祀を虔敬し、〜夙夕を唬まん
、また《叔夷鎛》に厥の死(司)事を⿱虔廾卹󠄀せよ
といふ。
古く虎皮を用ゐる儀禮があつたのであらう。文はおそらく文身の文。神判において勝訴を得た解廌に文身の心字形を加へて慶とするやうに、虎皮に文を加へて神意につかへ、神意にかなふ意を示したものと思はれる。
藤堂
漢語多功能字庫
金文は虍に從ひ文聲。本義は虎が行く威嚴あるさまであらう。『說文』虔、虎行皃。(後略)
引伸して勇武、強固の意。後に借りて恭敬を表す。
叔尸鐘では虔の下に廾を加へる。廾は兩手に象り、兩手で捧げ持つこと、恭敬の意を有す。
金文では恭敬を表す。
- 毛公鼎
虔夙夕惠我一人
は、早晩鄭重に我一人を助け給への意。 - 秦公鐘
余夙夕虔敬朕祀、以受多福。
屬性
- 虔
- U+8654
- JIS: 1-73-42