説文解字私註 夕部
- 夕
-
莫也。从月半見。凡夕之屬皆从夕。
- 夜
舍也。天下休舍也。从夕、亦省聲。
- 夢
不明也。从夕、瞢省聲。
- 夗
-
轉臥也。从夕从卪。臥有卪也。
- 夤
敬惕也。从夕寅聲。『易』曰、夕惕若夤。
- 夝
-
雨而夜除星見也。从夕生聲。
- 外
遠也。卜尚平旦、今夕卜、於事外矣。
- 𡖊
早敬也。从丮、持事。雖夕不休、早敬者也。
- 𡖶
𡧯也。从夕莫聲。
夕部 舊版
夜
- 《説文解字本文》夜𡖍
舍也。天下休舍也。从夕、亦省聲。
- 《康煕古文》𠙑𠙇
- 白川は大と夕の會意とする。藤堂は、月と腋の原字たる亦の會意、亦た亦聲とする。
- 康煕夕部
- 當用漢字・常用漢字
夢
- 《説文解字本文》
不明也。从夕、瞢省聲。
- 《音》ム。ボウ。
- 《訓》ゆめ。ゆめみる。くらい。
- [解字:白川]呪儀を行ふ巫女を表す萈と、夕の會意。
- [解字:藤堂]良く見えぬことを表す𦭝(𥄕)と、おほひを表す冖と、月を表す夕の會意で、夜闇に覆はれて物の見えぬことを表す。
- [解字:落合]甲骨文は、爿と、目を大きく開けた人の形(夢字の上部に當たる)の會意。亦た、人の形の部分は聲符。寢臺に寢てゐる人が夢に驚いて目を覺ましたさまで、ゆめみるの意。金文に夢の字形が現れたが、當初は暗いことを意味した。篆文ではゆめの意には㝱部㝱字を用ゐ、後に夢をゆめの意に用ゐる。
- [解字:漢字多功能字庫]甲骨文は、爿と、夢を見て手や眼睛や眉を動かす人の形の會意。亦た人の形の部分は聲符。本義はゆめみる。金文は夢を見る人の形(夢字の上部に當たる)と夕の會意字で、夕は多く夜に夢を見るの意符。㝱部㝱字は異體字。
- 康煕夕部
- 當用漢字・常用漢字
夤
- 《説文解字本文》
敬惕也。从夕寅聲。『易』曰、夕惕若夤。
- 《説文解字重文》𡖷
籒文夤。
- 《康煕》
『廣韻』翼眞切『集韻』『韻會』夷眞切、𠀤音𡐔。『說文』恭也、敬惕也。
- 《康煕》
進也、緣連也。『宋・穆修・會遇詩』介立傍無援、隂排密有夤。方語、因賄于進曰夤緣。
- 《康煕》
遠也。『淮南子・地形訓』九州之外、乃有八夤、一作殥。
- 《康煕》
腰絡也。『易・艮卦』列其夤。
- 《康煕》
『廣韻』『正韻』以脂切『集韻』『韻會』延知切、𠀤音夷。敬也、遠也。
- 《康煕》
亦作𡖴𡖸𡖷。○按夤字訓義、『說文』及諸字書皆然、『正字通』强辨其非、不可從。
- 《音》イン
- 《訓》つつしむ
- 康煕夕部
外
- 《説文解字本文》
遠也。卜尚平旦、今夕卜、於事外矣。
- 《説文解字重文》𡖄
古文外。
- 《音》グワイ。ゲ。
- 白川は、肉を削り取る意の夕と卜の會意、卜事に關する字とする。藤堂は、卜と月の會意で亦た月聲、月の缺け方で占ふことを表し、缺けて殘つた月の外側のこととする。漢字多功能字庫は、甲骨文に卜を外の意に用ゐ、金文で月を聲符に加へたとする。卜兆を借りて内外を表したといふ。
- 康煕夕部
- 當用漢字・常用漢字
夙
- 《説文解字本文》𡖊
早敬也。从丮、持事。雖夕不休、早敬者也。
- 《説文解字重文》𠉦
古文夙从人、𠀬。
- 《説文解字重文》𠈇
亦古文夙、从人、㐁。宿从此。
- 《康煕古文》𣦽
- 《音》シユク
- 《訓》つとに。はやい。
- 甲骨文は月と丮に從ふ。白川は卜文を月を拜する意と推断し、𠉦𠈇は㐁席を用ゐる形で、夙とは別の字といふ。藤堂は丮を兩手で働くの意、月夜に急ぎ働くことを表すとする。
- 康煕夕部
𡖶
- 《説文解字本文》
𡧯也。从夕莫聲。
- 《康煕》
『廣韻』『集韻』𠀤莫白切、音陌。同𡠜。『說文』𡧯也。一曰靜也。與莫通。
- 康煕夕部