夕 - 漢字私註

説文解字

夕
莫也。从半見。凡夕之屬皆从夕。
夕部

説文解字注

夕
𦱤也。𦱤者、日且冥也。日且冥而月且生矣。故字从月半見。旦者、日全見地上。𦱤者、日在茻中。夕者、月半見。皆會意象形也。从月半見。祥易切。古音在五部。凡夕之屬皆从夕。

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤祥易切、音席。晨之對、暮也。『尚書・大傳』歲之夕、月之夕、日之夕、謂臘爲歲夕、晦爲月夕、日入爲日夕也。『詩・小雅』以永今夕。

又朝見曰朝、夕見曰夕。『晉語』平公射鷃不死、使豎襄搏之、失。公怒、將殺之、叔向聞之夕。《註》夕見于朝以諫也。

又七夕。『齊諧記』桂陽武丁有仙道、謂弟曰、七月七夕、織女當渡河暫詣牽牛。『荆楚歲時記』七夕、婦女結綵樓、𨻰瓜果庭中、穿七孔針以乞巧。柳宗元有乞巧文。

又官名。夕郞、漢制、給事黃門之職。

又地名。『左傳・莊十九年』楚子卒、鬻拳葬諸夕室。

又山名。『山海經』渾夕之山。又曹夕之山。

又姓。望出巴郡。見『統譜』。

又斜也。『呂覽』正坐于夕室、謂室斜而正其坐也。

又與昔通。『莊子・天運篇』通昔不寐。

又叶在爵切、音皭。猶宿也。『詩・齊風』齊子發夕。『陸德明疏』發朝也。叶上鞹薄。

『說文』从月半見。《徐曰》月字之半、月初生則暮見西方、故半月爲夕。

音訓

セキ(漢) 〈『廣韻・入聲・昔・席』祥易切〉[xī]{zik6}
ゆふ。ゆふべ。

解字

白川

象形。夕の月の形に象る。

卜辭に「卜夕」と呼ばれるものがあり、王のために毎夕「今夕、𡆥とが亡きか」と卜してをり、本朝平安期の毎日招魂の禮に近い。

殷周期には古く朝夕の禮があり、金文に「夙夕をつつしむ」といふ語が見え、夙夕に政務が行はれた。また大采、小采といひ、そのとき會食し、同時に政務を執つた。その大采の禮を朝といひ、朝政といふ。『國語・魯語下』に少采夕月(少采、月に夕す)とあつて、その古儀を傳へてゐる。

藤堂

象形。三日月を描いたもの。

元の字體はと同じだが、言葉としては別。

落合

象形。虧けた月に象る。甲骨文ではと字形による使ひ分けはない。

甲骨文の月字には中に點のあるものとないものがあるが、現用の夕字の形は後者を承ける。

甲骨文での用義は月字條に記す。殷代に既に夕の字義も有つたが、月と夕は上古音が大きく異なるので、別源語への轉注であらう。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、月の形を以て月の出る時を表す。と夕は本來どちらも月の形を表し、中間に點があるかどうかで區別をしない。後に異體が分業し、月の形の中に點がある字で月を表し、點のない字で夕を表すやうになり、分化した。

夕の本義は日が落ち月が出る夕方で、日が沈み暗くなつてから明け方までの夜とは區別がある。ただし夕が闇夜を兼ねて指す用法もある。

甲骨文では本義に用ゐる。

金文では夜を指し、朝や夙と相對する。

屬性

U+5915
JIS: 1-45-28
當用漢字・常用漢字

関聯字

夕に從ふ字を漢字私註部別一覽・月部・夕枝に蒐める。