厂 - 漢字私註
説文解字
山石之厓巖、人可居。象形。凡厂之屬皆从厂。呼旱切。
- 九・厂部
籒文从干。
説文解字注
山石之厓巗。人可凥。凥舊作居。今正。厓、山邊也。巗者、厓也。人可居者、謂其下可居也。屋其上則謂之广。象形。謂象嵌空可居之形。呼旱切。十四部。凡厂之屬皆从厂。
籒文从干。象形而从干聲。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』呼旰切『集韻』虛旰切、𠀤音漢。『說文』山石之厓巖、人可居。象形。『集韻』籀作厈。『六書本義』厂、水厓高者。岸厈同。
又『唐韻』呼旱切『集韻』許旱切、𠀤音䍐。義同。
又『集韻』魚杴切、音嚴。䉷或省作厂。
- 部・劃數
- 厂部・三劃
『玉篇』籀文厂字。
音訓
- 音
- カン(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・旱・䍐』呼旱切〉[hǎn]{hon2}
- カン 〈『廣韻・去聲・翰・漢』呼旰切〉[hàn]{hon3}
- ガン(慣)
- 訓
- がけ。きし。いはほ。
藤堂は上聲旱韻、KO字源は去聲翰韻とする。
解字
白川
象形。山の崖や岸の形を象る。
厓巖を利用して屋根かけした構造のものは广で示すことが多い。
厂形のものにまた人の額部を示すものがある。
藤堂
象形。厂型に切り立つた崖を描いたもの。崖、土などを表す。岸、崖の原字。
落合
甲骨文は石磬の象形で石の初文。字の要素としても石や石器を表す。その段階では崖の意はない。
異體字に祭器を表す口を加へ、石の形につくるものがあり、現用の石字はこれを承ける。
周代に崖の意に轉用された。
漢字多功能字庫
厂
金文の厂に從ふ字は石の省略形に從ふといふべし。甲骨文の石字は山石を指し、『説文解字』に山石之厓巖
と訓ずる所以なり。また、厂は屋の形の广とは違ふ字だが、兩者は良く似てをり、容易に混淆し、故に金文の偏旁で取り違へるものもある。
厂、厈、岸は古くは一字であつた。厂字本象石岸之形。周秦或加干為聲符作厈、後又或於厈上加山為意符作岸、故厂、厈與岸實為一字。
(高鴻縉《中國字例》)
厈
厈は厂と同じで、『説文解字』によれば厂の籀文。干は聲符で、厈は厂の後起の形聲字。金文は𢇛につくり、岸の初文に當たり、岸邊を表す。『字彙・厂部』厈、水厓高也。俗作岸。
【補註】 『康煕字典』採錄の𢇛は㡰字の譌、あるいは斥字の譌とされ、別字。
屬性
- 厂
- U+5382
- JIS: 1-50-44
- 厈
- U+5388
関聯字
厂に從ふ字
漢字私註部別一覽・厂部に蒐める。
其の他
- 廠
- 厂を廠の簡体字として用ゐる。