干 - 漢字私註

説文解字

干
犯也。从反、从。凡干之屬皆从干。
干部

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』古寒切『集韻』『韻會』居寒切、𠀤音竿。『說文』干、犯也。『左傳・文四年』其敢干大禮、以自取戾。『晉書・衞玠傳』非意相干、可以理遣。

又『爾雅・釋言』干、求也。『書・大禹謨』罔違道以干百姓之譽。『論語』子張學干祿。

又盾也。『揚子・方言』盾、自關而東或謂之[盾支]、或謂之干、關西謂之盾。『書・大禹謨』舞干羽于兩階。『詩・大雅』干戈戚揚。

又司干、官名。『周禮・春官』司干掌舞器。

又『爾雅・釋言』干、扞也。《註》相扞衞。《疏》孫炎曰、干盾、自蔽扞。『詩・周南』公侯干城。《疏》干城者、言以武夫自固、爲扞蔽如盾、爲防守如誠然。

又㵎也。『詩・小雅』秩秩斯干。《傳》干、㵎也。

又水涯也。『易・漸卦』鴻漸干干。《註》干謂大水之旁、故停水處者。『詩・魏風』寘之河之干兮。《傳》干、厓也。

又國郊曰干。『詩・邶風』出宿于干。《傳》干言國郊也。

又『韻會』若干、數未定之辭、猶言幾許也。『禮・曲禮』問天子之年。對曰、聞之始服衣若干尺矣。『前漢・食貨志』或用輕錢百加若干。《註》師古曰、若干、且設數之言也。干猶箇也。謂當如此箇數耳。

又自甲至癸爲天干。『皇極經世』十干、天也。十二支、地也。支干、配天地之用也。『皇極內篇』十爲干、十二爲支。十干者。五行有隂陽也。十二支者、六氣有剛柔也。

又闌干、橫斜貌。『古樂府・善哉行』月沒參橫、北斗闌干。

又『韻會』闌楯閒曰闌干。『李白・淸平調』沉香亭北倚闌干。

又『韻會』目眶謂之闌干。『正韻』闌干、淚流貌。『談藪』王元景使梁、劉孝綽送別、泣下。元景無淚謝曰、別後當闌干。『白居易詩』玉容寂寞淚闌干。

又蘭干、紵也。『後漢・哀牢國傳』蘭干細布、織成文章如綾錦。『華陽國志』蘭干、獠言紵也。

又干將、劒名。『吳越春秋』干將者、吳人也。莫邪、干將之妻也。干將作劒、莫邪斷髮翦爪投于爐中、金鐵乃濡、遂以成劒。陽曰干將、隂曰莫邪。

又干遮、曲名。『司馬相如・子虛賦』淮南干遮。《註》干遮、曲名也。

又射干、木名。『荀子・勸學篇』西方有木、名曰射干。

又草名。『本草圖經』射干、花白莖長、如射人之執干。『後漢・𨻰寵傳』陽氣始萌、十一月有蘭、射干、芸荔之應。

又獸名。『司馬相如・子虛賦』騰遠射干。《註》射干、似狐、能緣木。又野干、亦獸名。『法華經』野干、體瘦無目、爲諸童子摘擲、受諸苦痛。

又發干、蘭干、餘干、𠀤縣名。『後漢・郡國志』東郡有發干縣、漢陽郡有蘭干縣。『隋書・地理志』鄱陽郡有餘干縣。

又長干、地名。『左思・吳都賦』長干延屬。《註》建業南五里有山岡、其閒平地、吏民雜居。東長干中有大長干、小長干、皆相連。地有長短、故號大小長干。韓詩曰考盤在干。地下而黃曰干。

又姓。『左傳・昭二十一年』宋有干犫。『劉向・別錄』有干長、著天下忠臣九篇。又段干、干己、𠀤複姓。『史記・老子傳』老子之子名宗、爲魏將、封於段干。《註》段干、應是魏邑名、而魏世家有段干木、段干子。田完世家有段干朋。疑此三人是姓段干也、本蓋因邑爲姓。『何氏姓苑』漢有干已衍、爲京兆尹。

又『集韻』居案切、音盰。扞也。『詩・周南』公侯干城。沈重讀。

又『篇韻』音寒。國名。『淮南子・道應訓』荆有佽飛、得寶劒於干隊。《註》干國、在今臨淄、出寶劒。

『韻會』通作奸。『前漢・劉向傳』數奸死亡之誅。

又通作忓、干預也。『唐書・萬壽公主傳』無忓時事。

『韻會』通作竿。『後漢・董卓傳』乗金華靑蓋、瓜畫兩轓、時人號竿摩車、言其服飾近天子也。《註》竿摩、謂相逼近也。今俗以事干人者謂之相竿摩。

又與矸通。『集韻』矸、石也。或省作干。

與豻通。『類篇』豻或作干。『儀禮・大射儀』量人量侯道干五十。《註》干讀豻。豻侯者、豻鵠豻飾也。

又古與乾通。『初月帖』淡悶干嘔。楊愼曰、淡、古淡液之淡、干、古干溼之干。今以談作痰、干作乾、非也。

又叶經天切、音堅。『黃庭經』回紫抱黃入丹田、漱嚥靈液災不干。

音訓

(1) カン(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・寒・干』古寒切〉
(2) カン(漢、呉) 〈『集韻』居案切、音盰〉
(1) たて。ほこ。をかす(干犯)。もとめる。かかはる(干涉)。ほす。かわく。ほとり。
(2) ふせぐ

解字

白川

象形。長方形の盾の形を象る。

説文解字に干犯の意とするが、盾は身を護るもので、金文の《毛公鼎》に王の身を干吾せよ(白文は下揭)とあり、扞敔の意。

金文の《小臣宅𣪘》に戈と合はせて、畫干戈九を賜ふことが見える。方形の盾に畫飾を加へたものは周、その彫飾を彫、雕といふ。圓形の盾には羽飾りなどをつけて單の形にしるし、戰、獸(狩の初文)などはその形に從ふ。

藤堂

象形。二股の棒を描いたもの。人を突く武器にも、身を守る武具にも用ゐる。また、突き進むのは犯すことであり、身を守るのは盾である。

幹(太い棒、みき)、竿(竹の棒)、杆、桿(木の棒)の原字。

乾に當てるのは假借。

落合

象形。狩りで獲物を捕らへるための刺股の象形である單を簡略化した形。

甲骨文の要素としては單と通用し、原義に用ゐる。

甲骨文での用例は、地名またはその長の表示。《合集》28059(下揭)、《東京大學東洋文化研究所藏甲骨文字・圖版篇》1067甲申卜、勿令鼓從干。

後代、楯である𢧀(初文は毌の形)と混同され、「干戈」など楯の意に用ゐる。

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上部に羽飾りのついた盾を象る。防禦の武器で、故に捍衞の意となる。攼、扞、捍の初文。毛公鼎干(扞)吾(禦)王身

甲骨文では捍禦を表す。《合集》28059弜令戍干衛。金文では捍禦、捍衛を表すほか、本義に用ゐ、兵器(楯のこと)を表す。豦簋干戈また氏名に用ゐる。

『方言』盾、自關而東或謂之瞂、或謂之干。關西謂之盾。『書・牧誓』稱爾戈、比爾干、立爾矛。孔安國《傳》干、楯也。

甲骨文の干と單は一字の異體で、上部が分かれた狩りの道具を象るとする學者もゐる。

屬性

U+5E72
JIS: 1-20-19
當用漢字・常用漢字

関聯字

干に從ふ字

干聲の字