陲 - 漢字私註
説文解字
危也。从𨸏垂聲。是爲切。
- 十四・𨸏部
説文解字注
危也。許義垂訓遠邊、陲訓危。以垂从土、陲从𨸏之故。今義訓垂爲懸、則訓陲爲邊。邊陲行而邊垂廢矣。从𨸏垂聲。是爲切。古音在十七部。
康煕字典
- 部・劃數
- 阜部八劃
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤是爲切、音倕。『說文』危也。
又『廣韻』邊也。『增韻』疆也。『左傳・成十三年』虔劉我邊陲。『史記・律書』連兵於邊陲。
又『韻會』本作垂。『爾雅・釋詁』疆界邊衞圉、垂也。《註》皆在外垂也。『戰國策』今大國之地半天下、有二垂。『荀子・臣道篇』邊境之臣處、則疆垂不喪。
音訓
- 音
- スイ(漢) 〈『廣韻・上平聲・支・𡍮』是爲切〉[chuí]{seoi4}
- 訓
- ほとり。さかひ。
解字
白川
形聲。聲符は垂。垂は華葉が垂れて地に及ぶ形。その末端のところをいふ。陲は説文解字に危きなり
とあり、岸涯の意とする。字は多く邊陲の意に用ゐる。
神梯の形である𨸏に從ふことからいへば、もと聖域をいふ字であらう。聖域は容易に近附きがたい危險の地であつた。
金文の《曾姫無卹壺》に漾陲
といふ語があり、漾水のほとりをいふ。
藤堂
阜と音符垂の會意兼形聲。垂は穗が垂れる姿と土の會意字で、大地の垂れ下がつた地の果て。地の果ては低く垂れて、崖になつてゐると考へられた。陲は垂字の元の意味を表す。
漢字多功能字庫
金文は阜と垂に從ひ、垂は聲符。本義は邊陲、邊疆。また垂につくる。金文では人名に用ゐる。『古今韻會舉要・支韻』陲、遠邊也。
『左傳・成公十三年』芟夷我農功、虔劉我邊陲。
また、そば、かたはら、ふち、へりを表す。漢・王粲〈詠史〉妻子當門泣、兄弟哭路陲。
屬性
- 陲
- U+9672
- JIS: 1-80-4