匽 - 漢字私註

説文解字

『唐韻』『韻會』於幰切『集韻』隱幰切、𠀤音偃。『說文』匿也。从匸、妟聲。『廣韻』隱也。『前漢・禮樂志郊祀歌』興文匽武。

又『周禮・天官・宮人』爲井匽。《註》匽、路厠也。鄭康成謂、匽豬、謂霤下池、受蓄水而流之者。

又『集韻』於建切『正韻』伊甸切、𠀤音堰。路厠也。

形聲。聲符は妟。妟は女子の頭上に玉(日)を置いて魂振りをする儀禮。匸は祕匿の場所。

説文解字に匿すなりとするが、匿も祕匿のところで巫が呪儀を行ふことを示す字。

金文に匽飲のやうに用ゐ、宴の初文。

匸(隱す)と音符妟の會意兼形聲。安は女性を押さへて家の中に籠もらせる意。按と同系で、低く押さへる意を含む。晏は太陽が低く西に下がる意で、妟はその略體。匽は身體を低く押さへて姿を隠すこと。

匸に從ひ妟聲。本義は隱匿。

最初は乚と日と女に從ひ、妟は聲符。乚は室外の廷地を象り、張世超等は匽は女子が廷中の日の下に立つ意であらうとする。

金文での用義は次のとほり。

喜樂を表し、典籍では宴あるいは燕につくる。
- 秦公鎛以匽皇公、以受大福。
- 沇兒鎛「「以匽以喜、以樂嘉賓、及我父兄庶士。」
- 邾公牼鐘以樂其身、以匽大夫、以喜者(諸)士。
國名、地名に用ゐる。