手 - 漢字私註
説文解字
拳也。象形。凡手之屬皆从手。
- 十二・手部
古文手。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𠂿
『唐韻』書九切『集韻』『韻會』『正韻』始九切、𠀤音首。『釋名』手須也、事業所須也。『急就篇』捲捥節爪拇指手。『師古註』及掌謂之手。『易・說卦』艮爲手。《疏》艮旣爲止、手亦能止持其物、故爲手也。『禮・玉藻』手容恭。
又以手執器亦曰手。『禮・檀弓』王事也。子手弓而可。『公羊傳・莊十三年』曹子手劒而從之。
又『司馬相如・上林賦』手熊羆。《註》言手擊之。
又叶尸周切、音收。『焦氏・易林』邑姜叔子、天文在手。實沈參墟、封爲晉侯。
又叶賞呂切、音黍。『郭璞・神嘘贊』腳屬於頭、人面無手。厥號曰嘘、重黎所處。
又叶矧視切、音矢。『宋玉・笛賦』延長頸、奮玉手、摛朱脣、曜皓齒。
又『說文』拳也。『正字通』握手謂之拳。非手卽拳也。
- 部・劃數
- 丿部十劃
『玉篇』古文手字。註詳部首。
音訓
- 音
- シュ(呉) シウ(漢) 〈『廣韻・上聲・有・首』書九切〉
- 訓
- て。てづから。もつ。とる。てだて(手段)。
解字
白川
象形。手首から上、五本の指を記す。
『説文解字』に拳なり
とするが、指を伸ばしてゐる形。
金文に「拜手𩒨(稽)首」のやうにいひ、ときに「拜手𩒨手」、「拜𩒨手」のやうに記すことがあるのは、手、首が同聲であるからであらう。體の先端にあるものを首、腕の先端にあるものを手といふ。
藤堂
象形。五本の指のある手首を描いたもの。
外回りを圍んでその中に物を持つ意を含む。
落合
西周代に初出。五本の指がある手の象形。殷代には手の形としては又だけが使はれたが、西周代以降に作られた會意字、形聲字では手を使つたものが多い。
漢字多功能字庫
手の甲骨文は一般に又につくり、ただ三指が見える。後に又を多く連詞に借用し、よつて別に手字をつくる。金文の手は多く五指が見え、五指から腕に至るまでの形を象る。手と止(趾あるいは足)は漢字の最も重要な構成要素である。按ずるに手と毛の形は近く、容易に混淆する。また、古文(𠂿)と戰國竹簡は近い。《上博竹書七・君人何必安哉甲本》簡9字形を參照のこと。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、人の手の部分を指す。曶壺蓋
曶拜手𩒨首。
金文に「拜手𩒨首」の語が多く見える。傳世文獻では『尚書・周書・召誥』のやうに「拜手稽首」につくる。「拜手稽首」は古代の跪拜の禮。 - 首の通假字となす。卯蓋
卯拜手頁(𩒨)手(首)。
「稽首」を「頁手」と書く例は僅かにこの一つのみ見える。 - 王臣簋
王臣手稽首
は他器では「拜稽首」につくり、手は拜の錯字。
戰國竹簡でも本義に用ゐる。
- 《郭店楚簡・五行》簡45
耳、目、鼻、口、手、足六者。
- 《上博竹書七・君人何必安哉甲本》簡8至9
傑(桀)、受(紂)、幽、萬(厲)𣩍(戮)死於人手。
傳世文獻での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐる。『詩・邶風・擊鼓』
執子之手、與子偕老。
- 人の手の部分より執り持つ意を派生する。俞樾『古書疑義舉例』卷三
執持於手即謂之手。
- 『逸周書・克殷』
武王乃手太白以麾諸侯。
武王は手に太白旗を執り以て諸侯を指揮するの意。
- 『逸周書・克殷』
また、手に持つて便利な細かいものを言ふのに手を用ゐる。「手折」、「手冊」など。『明史・齊泰傳』又問諸圖籍、出袖中手冊以進。
屬性
- 手
- U+624B
- JIS: 1-28-74
- 當用漢字・常用漢字
- 𠂿
- U+200BF
関聯字
手に從ふ字を漢字私註部別一覽・手部に蒐める。