問 - 漢字私註

説文解字

訊也。从聲。
口部

康煕字典

部・劃數
口部八劃
古文
𠳅

『唐韻』亡運切『集韻』『韻會』『正韻』文運切、𠀤聞去聲。『說文』訊也。『書・仲虺之誥』好問則裕。『詩・邶風』問我諸姑、遂及伯姊。

又『爾雅・釋言』聘問也。『儀禮・聘禮』小聘曰問。『周禮・春官・大宗伯』時聘曰問。又『秋官・大行人』閒問以諭諸侯之志。『又』凡諸侯之邦交、歲相問也。

又『正字通』古謂遺曰問。『詩・鄭風』雜佩以問之。《傳》問、遺也。『禮・曲禮』凡以苞苴簞笥問人者。『左傳・哀二十六年』衛侯使以弓問子貢。

又訊罪曰問。『詩・魯頌』淑問如臯陶。《註》淑、善。問、訊囚也。

又命也。『左傳・莊八年』期戍、公問不至。《註》問、命也。

又姓。『廣韻』今襄州有之。『正字通』明問智、成化貢士。

又『正韻』與同、聲問也。『詩・大雅』宣昭義問。『又』亦不隕厥問。

部・劃數
口部七劃

『正字通』古文字。註詳八畫。

異體字

簡体字。

音訓

モン(呉) ブン(漢)
とふ。たづねる。

解字

白川

の會意。門は家廟の廟門。口は祝禱を收める器の形。祈つて神意を問ふ。

説文解字問字條に訊ふなりとあり、同訊字條に問ふなりとあるのと互訓。訊の初形は[口允糸]につくり、罪人や俘虜を尋問する意であるから、訊と問とは大いに字義が異なる。

問は神意に諮り問ふ意。『書・呂刑皇帝清問下民(皇帝、下民に清問す)、『詩經・大雅・緜亦不隕厥問(亦たの問をおとさず)とは、みな神意に關していふ。

のち問答や、人に問遺する意などに用ゐる。

藤堂

と音符の會意兼形聲。門は二枚の扉を閉ぢて中を隱す姿を描いた象形字。隱して分からないの意や、分からない所を知るために出入りする入口などの意を含む。問は、分からないことを口で探り出す意。

落合

に從ひ聲の形聲字と看做す説が有力だが、門下に祭器を置いた形の會意字(門亦聲)とする説もある。甲骨文には二例しか見えず、いづれも缺損片であり、成り立ちは不明。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、に從ひ、あるいは二口に從ふ。小篆は口に從ひ門聲。本義は訊問。甲骨文や金文と小篆の形は同じだが、兩者の表す語が同じとは限らない。甲骨文の辭殘は、その義が不明である。金文では人名に用ゐる。史問鐘史問自乍(作)昪鐘。甲骨文、金文の問に訊問の意に用ゐるものはなく、その表す所の本義が訊問とは限らない。

秦簡では問を訊問の意に用ゐ、小篆の表す語義と同じ。《睡虎地秦簡・法律答問》簡10甲盜不盈一錢、行乙室、乙弗覺、問乙論可(何)殹(也)。毋論。は、甲は一錢に滿たぬ盜みをして去り、乙家に行つたが、乙は氣附かなかつた、といふ場合、乙はいかなる罪に問はれるか、罪には問はれない、の意。

馬王堆帛書でも本義に用ゐ、詢問を指す。《馬王堆帛書・戰國縱橫家書》第12行奉陽君甚怒於齊、使勺(趙)足問之臣は、奉陽君(李兌、戰國趙の相國)が齊に甚だ怒り、趙をして臣に之を尋ねさせる、の意。

また、金文の問はかつて字を借りてその語義を表し、しかも聞と婚、は古く同じ字で、問と昏は音が近く字が通ずると見るべし。戰國竹簡では昏を借りて問となす。《郭店楚簡・魯穆公問子思》簡3向(嚮)者吾昏(問)忠臣於子思。

傳世文獻での用義は次のとほり。

屬性

U+554F
JIS: 1-44-68
當用漢字・常用漢字
𠳅
U+20CC5
U+95EE