門 - 漢字私註
説文解字
聞也。从二戶。象形。凡門之屬皆从門。
- 十二・門部
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』莫奔切『集韻』『正韻』謨奔切『韻會』謨昆切、𠀤音捫。『說文』聞也。从二戸、象形。『玉篇』人所出入也。在堂房曰戸、在區域曰門。『博雅』門、守也。『釋名』捫也。言在外爲人所捫摸也。『易・同人』同人于門。《註》心無係吝、通夫大同、出門皆同、故曰同人於門也。『書・舜典』賔于四門、四門𥡆𥡆。《傳》四門、四方之門。『禮・月令』孟秋之月、其祀門。『周禮・天官・掌舍』爲帷宮、設旌門。《註》王行止食息、張帷爲宮、樹旌以表門。『又』設車宮轅門。《註》王止宿險阻之處、車以爲藩、則仰車以其轅表門。今慕府亦稱轅門、牙門。『楚辭・九辯』君之門以九重。《註》天子九門、關門、遠郊門、近郊門、城門、臯門、雉門、應門、路門、寢門、亦曰庫門。
又譙門、城上爲高樓以望者。『前漢・𨻰勝傳』獨守丞與戰譙門中。
又橋門、國學門也。『後漢・儒林傳』圜橋門而觀聽者、蓋億萬計。
又師門。『後漢・桓榮傳』上則通達經旨、下則去家慕鄕、求謝師門。又『通鑑』唐狄人傑、嘗薦姚元崇等數十人。或謂曰、天下桃李、悉在公門。
又『正字通』世族盛著曰門望。韓顯宗疏、言門望者祖父之遺烈。
又凡物關鍵處、皆謂之門。『易・繫辭』道義之門。《疏》物之得宜、從此易而來、故云道義之門、謂與道義爲門戸也。又『老子・道德經』衆妙之門。
又期門、勇士也。『後漢・譙玄傳』帝始作期門、數爲微行。《註》前書、武帝微行、常與侍中常侍武騎、及待詔、北地良家子能騎射者、期諸殿門、故有期門之號、自此始也。成帝微行亦然、故言始也。『班固・西部賦』期門佽飛、列刃攢鍭。
又官名。『周禮・地官』司門、祭祀之牛牲繫焉、監門養之。『後漢・百官志』黃門侍郞六百石、掌侍從左右給事中。『又』門大夫六百石。《註》漢官曰、門大夫二人、選四府掾屬。
又『周禮・春官・小宗伯』其正室、皆謂之門子。《註》將代父當門者也。『左傳・襄十一年』大夫諸司門子勿順。
又地名。『左傳・襄二十七年』託於木門。《註》木門、晉地『史記・項羽紀』兵四十萬在新豐鴻門。『孟康註』在新豐東十七里。又『秦本紀』敗三晉之師於石門。『一統志』在平陽府解州東南白徑嶺、踰中條山、通陝州道、山嶺參天、左右壁立、閒不容軌、名曰石門。
又鴈門、郡名。見『前漢・地理志』。
又山名。『書・禹貢』浮于積石、至于龍門。《傳》龍門山在河東之西界。『後漢・逸民傳』龎公攜其妻子、登鹿門山。又『正字通』北方北極之山曰寒門。漢光武紀寒門註、師古曰、今冶谷去甘泉八十里、盛夏凜然。
又星名。『史記・天官書』其南北兩大星曰南門。《註》南門二星、在庫樓南天之外門、明則氏羌貢。『天文志』大微星南四星執法、中端門、左右掖門。
又姓氏也。公卿之子、敎以六藝、謂之門子。後因以爲氏、後魏門文愛。又東門、西門、雍門、木門、俱複姓。『左傳・宣十八年註』襄仲居東門、故曰東門氏。
又樂名。『周禮・春官・大司樂』以樂舞敎國子、舞雲門大卷、大咸、大㲈、大夏、大濩、大武。《註》此周所存六代之樂。黃帝曰雲門。
又人名。『史記・秦始皇紀』使盧生求羨門高誓。《註》羨門、古仙人。『前漢・藝文志』逢門射法二篇。《註》卽逢蒙。『荀子・正論篇』羿蠭門者、天下之善射者也。
又『正字通』僧曰沙門桑門。『前漢・郊祀志』沙門、漢言息心削髮、絕情欲、歸於無爲也。
又『韻補』叶民堅切、音眠。『楚辭・遠遊』虛以待之兮、無爲之先。庶類有成兮、此德之門。
又叶眉貧切、音珉。『詩・邶風』出自北門、憂心殷殷。叶下貧。『荀卿・雲賦』往來惽憊、通於大神。出入甚亟、莫知其門。
異體字
簡体字。
音訓
- 音
- モン(呉) 〈『廣韻・上平聲・䰟・門』莫奔切〉[mén]{mun4}
- 訓
- かど。みうち(一門)。
解字
白川
象形。門の形を象る。
『説文解字』の釋は當時の音義説による解。
『釋名・釋宮室』に門、捫也
(門は捫すなり)と訓ずる。
のち、家門、門閥のやうに家や家族をいひ、門下、門生のやうに徒弟をいふ。
藤堂
象形。左右二枚の扉を設けた門の姿を描いたもので、やつと出入りできる程度に狹く閉ぢてゐるの意を含む。
落合
會意。戸を二つ竝べて兩開きの扉がある門を表す。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 門。殷都には甲門、乙門、丁門、南門などの門があつた。また、廳や宗などの施設にも門があり、廳門、宗門と呼ばれる。
- 《合補》1244
貞、勿于乙門令。
- 《合補》10421
王于宗門逆羌。
- 《合補》1244
- 地名またはその長。
- 《屯南》217
勿田門、其雨。
- 《屯南》217
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、二枚の扉の形につくり、甲骨文はあるいは字の上に門の橫木を加へる。戰國文字は商周の文字を承け、あるいは門の内に兩筆を飾りに加へる。『説文解字』の釋は、按ずるに聲訓。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、門を指す。
- 宗廟の門を指すのに多用する。《合集》32035
王于宗門逆羌
は、王が宗廟の門前において羌人を捕らへて歸つてきた將を迎へることをいふ。 - 廳堂の門を指す。《合集》 30285
于廳門[亯丮]酓
は、廳門において、[亯丮]と酓の二種類の祭禮を行ふことをいふ。
- 宗廟の門を指すのに多用する。《合集》32035
- 地名に用ゐる。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、門を指す。格白𣪕
涉東門
は、東門を通過することをいふ。 - 動詞に用ゐ、城門を攻めることを指す。庚壺
庚大門之。
楊樹達庚大門之者、謂攻門也。按『左傳・僖公二十八年』云、晉侯圍曹、門焉、多死。杜注云、攻曹城門。又『左傳・成公二年』云、齊侯伐我北鄙、圍龍、頃公之嬖人盧蒲就魁門焉。杜注云、攻龍門也。……按圍人之邑必攻其城門、城門亦曰門、古人文法名動往往相因之。
- 按ずるに、動詞に用ゐ、城門を守ると解くこともできる。『廣雅・釋詁三』
門、守也。
『左傳・文公十五年』一人門于句鼆、一人門于戾丘、皆死。
杜預注有寇攻門、二子禦之而死。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、門を指す。《上博竹書一・孔子詩論》簡4
『詩』丌(其)猶坪(平)門
は、『詩』はまるで平正な(平らで歪みのない)門のやうである、の意。 - 地名に用ゐる。《上博竹書二・容成氏》簡40
湯或從而攻之、降自鳴攸(條)之遂、伐高神之門、傑(桀)乃逃之南𦾈(巢)是(氏)。
は、湯はまた從ひ之(桀を指すか?)を攻め、鳴條より溪流を通る道を下り行き、高神之門を討伐し、桀は南巢に逃れた、の意。
傳世文獻では、門から、門徑(方法)、關鍵(要點)の義を派生する。『易・繫辭下』乾坤、其易之門邪。
孔穎達疏易之變化從乾坤而起、猶人之興動從門而出、故乾坤是易之門邪。
また家派、類別などの義をもつ。『論衡・問孔』論者皆云、孔門七十子之才勝今儒。
『後漢書・儒林傳』塗分流別、專門並興。
現代漢語にも分門別類(それぞれの部類に分類する)、五花百門(多種多樣、變幻無窮)などの成語がある。
屬性
- 門
- U+9580
- JIS: 1-79-78
- 當用漢字・常用漢字
- 门
- U+95E8
関聯字
門に從ふ字
『説文解字・門部』のほか、以下の字。
- 閏
- 閑