胥 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
蟹醢也。『〔周禮・天官〕庖人』「共祭祀之好羞」《注》謂四時所爲膳食。若今荆州之䱹魚。靑州之蟹胥。雖非常物。進之孝也。『釋名〔釋飮食〕』曰「蟹胥、取蟹藏之、使骨肉解足、胥胥然也。」『字林』云、胥、蟹醬也。按鄭云作醢及臡。必先膊乾其肉。乃後莝之。襍以粱麴及鹽。漬以美酒。塗置甀中。百日則成。許云蟹醢。作之當同也。『釋名』所云則似今之醉蟹。似劉說長。蟹者多足之物。引伸假借爲相與之義。『〔爾雅〕釋詁』曰「胥、皆也。」『又』曰「胥、相也。」今音相分平去二音爲二義。古不分。『公羊傳〔桓三年〕』曰「胥命者、相命也。」『榖梁傳〔桓三年〕』曰「胥之爲言猶相也。」毛傳於『〔詩・大雅・緜〕』聿來胥宇、『〔詩・大雅・公劉〕』「于胥斯原」皆曰、胥、相也。此可證相與、相視古同音同義也。『〔詩〕小雅〔桑扈〕』「君子樂胥」。毛曰、胥、皆也。賈誼書引此詩云胥相。此『爾雅』皆與相同義之證也。『方言〔六〕』又曰「胥、輔也。」文王胥附先後是也。
从肉疋聲。按蟹八跪二敖故字從疋。劉熙云、足胥胥然也。相居切。五部。劉昌宗音素。『集韵』又作蝑𧌊𧌋𧌖。音四夜切。按胥篆舊在膴腒之閒。非其類。今正之。移於此。
康煕字典
- 部・劃數
- 肉部・五劃
- 古文
- 𦙃
『廣韻』相居切『集韻』新於切、𠀤音湑。『說文』蟹醢也。『韻會』言其肉胥胥解也。『周禮・天官・庖人註』靑州之蟹胥。
又『集韻』助也、待也。
又『廣韻』相也。『書・太甲』民非后、罔克胥匡以生。《傳》無能相匡。『前漢・楚元王傳』二人諫不聽、胥靡之。《註》胥、相也。靡、隨也。古者相隨坐輕𠛬之名。又𠛬徒亦名胥靡。『莊子・庚桑楚』胥靡登高而不懼。《註》胥靡、𠛬徒人也。『前漢・敘傳』史遷薰胥以𠛬。《註》胥、相也。
又『集韻』皆也。『詩・小雅』君子樂胥。《傳》胥、皆也。
又儲胥、謂蓄積待用也。『前漢・揚雄傳』木雍槍累、以爲儲胥。《註》有儲蓄、以待所須也。
又官名。『周禮・地官』胥師、二十肆、則一人皆二史。《註》胥及肆長、市中給繇役者。『禮・文王世子』胥鼓南。《註》胥掌以六樂之會正舞位。
又樹名。『前漢・司馬相如傳』留落胥邪。《註》胥邪似幷閭、皮可作索。
又蝶名。『莊子・至樂篇』蝴蝶、胥也。《註》蝴蝶一名胥。『列子・天瑞篇』烏足之根爲蠐螬、其葉爲胡蝶。胡蝶、胥也。化而爲蟲、生竈下。
又語辭。『詩・小雅』侯氏燕胥。『又』君子樂胥。
又地名。『左傳・宣十二年』車及于蒲胥之市。
又胥閭、門名。『穀梁傳・成元年』客不悅而去、相與立胥閭而語。《註》門名。
又姓。『廣韻』胥童、晉臣。見『左傳・成十七年』。
又人名。『左傳・哀十一年』桑掩胥御國子。『前漢・功臣表』復陽剛侯陳胥。
又『集韻』寫與切、音諝。又蘇故切、音素。義𠀤同。
又『正韻』山徂切、音蔬。同蘇。
又『韻補』叶胥上聲。『班固・靈臺詩』屢維豐年。於皇樂胥。叶上廡雨。
- 部・劃數
- 肉部四劃
『正字通』古文胥字。楊愼曰、文選七發、弭節五子之山、通厲骨母之場。骨當作胥。【史記】吳王殺子胥、投之於江。吳人立祠江上、因名胥母山。古胥作𦙃、其字似骨。
音訓義
- 音
- ショ(漢) ソ(呉)⦅一⦆
- ショ(漢) ソ(呉)⦅二⦆
- ソ(推)⦅三⦆
- 訓
- あひ。みな。みる。まつ。たすける。⦅一⦆
- 官話
- xū⦅一⦆⦅二⦆
- 粤語
- seoi1⦅一⦆⦅二⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・魚・胥』相居切
- 『集韻・平聲一・魚第九・胥』新於切
- 『五音集韻・上平聲卷第二・魚第七・心・四胥』相居切
- 聲母
- 心(齒頭音・全清)
- 官話
- xū
- 粤語
- seoi1
- 日本語音
- ショ(漢)
- ソ(呉)
- 訓
- あひ
- みな
- みる
- まつ
- たすける
- 義
- 蟹醢。蟹の鹽辛。
- 助辭。
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・語・諝』私吕切
- 『集韻・上聲上・語第八・胥』寫與切
- 『五音集韻・上聲卷第七・語第六・心・四諝』私吕切
- 聲母
- 心(齒頭音・全清)
- 官話
- xū
- 藤堂はxǔを示し、今はxūと讀むとする。
- 粤語
- seoi1
- 日本語音
- ショ(漢)
- ソ(呉)
- 義
- 小役人。胥吏。偦と通ず。
- 諝に同じ。(『廣韻』)
⦅三⦆
- 反切
- 『集韻・去聲上・莫第十一・𦃃』蘇故切
- 『五音集韻・去聲卷第十・暮第九・心・一訴』雙故切
- 聲母
- 心(齒頭音・全清)
- 日本語音
- ソ(推)
- 義
- 蟹醤。蟹の鹽辛。
解字
白川
形聲。聲符は疋。疋に佐胥の意がある。
『説文解字』に蟹の醢なり
とあり、蟹胥の意とするが、その字は蛋。
金文に「左疋」「左胥」の語があり、胥は疋の繁文と見てよい。
『詩・小雅・桑扈』君子樂胥
(君子樂胥す(樂しむ))の《傳》に皆なり
、《箋》に才知有るの名なり
とあり、馬瑞辰の《傳箋通釋》に嘉の意とする。『詩・魯頌・有駜』に于胥樂兮。
(ああ胥樂す)とあつて、胥樂は同義と見るべく、胥は恐らく「逸豫」の豫などと近い語であらう。古い用義法で、他に例はない。
のち胥吏の意に用ゐる。
『周禮・天官・庖人・注』に、四時の好羞の一として、青州の蟹胥を擧げてゐる。
藤堂
肉と音符疋の會意兼形聲。もと、肉をほぐした鹽漬け。肉の纖維が何本にも分かれて竝ぶ意から、相竝ぶ、相對するの意となる。足と疋は、ともに膝小僧と足先とを描いた象形字。但し、疋は左右の足が相對する意を含む。
疋と相は語尾の轉じた同系の言葉。また疎(わかれる)、楚(何本にも分かれた柴)なども同系の言葉。
屬性
- 胥
- U+80E5
- JIS: 1-70-81
- 𦙃
- U+26643
関聯字
胥に從ふ字を漢字私註部別一覽・肉部・胥枝に蒐める。