坴 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
土凷坴坴也。坴坴、大凷之皃。
从土圥聲。力竹切。三部。讀若速。大徐本速作逐。誤也。坴讀如速。與鼀讀七宿切意同。
一曰坴梁地。『〔史記〕始皇本紀・三十三年』發諸賞逋兦人、贅壻、賈人略取陸梁地、爲桂林、象郡、南海、以適遣戍。字作陸。按坴梁葢其地多土凷。而土性强梁也。
康煕字典
- 部・劃數
- 土部・五劃
『廣韻』『集韻』𠀤力竹切、音六。土塊坴坴也。一曰高塏爲坴。『前漢・郊祀志』河溢臯坴。
又坴梁、越地。『史記・秦本紀』秦使賈人贅婿伐南越、略取坴梁之地。
陸本作坴。小篆加阜作陸。
音訓義
- 音
- ロク(呉) リク(漢)⦅一⦆
- チク(推)⦅二⦆
- 官話
- lù⦅一⦆
- 粤語
- luk6⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・入聲・屋・六』力竹切
- 『集韻・入聲上・屋第一・六』力竹切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・來三六』力竹切
- 聲母
- 來(半舌音・次濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- lù
- 粤語
- luk6
- 日本語音
- ロク(呉)
- リク(漢)
- 義
- 大きな土の塊。
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・入聲上・屋第一・逐』佇六切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・澄切三逐』直六切
- 聲母
- 澄(舌上音・全濁)
- 等呼
- 三
- 日本語音
- チク(推)
- 義
- 『集韻』
土塊。
解字
白川
象形。六を重ねた形。六は幕舍の象のやうである。
『説文解字』に土塊、坴坴たるなり
と土塊の相重なる象とするが、陸の金文の字形の從ふところによつて考へると、土塊の象とは見えない。
『説文解字』に𡴆聲とし、また、讀みて逐の若くす。一に曰く、坴梁(地名)なり。
といふ。《繫傳》に讀みて速の若くす
とあり、字形にも聲義にも混亂が見られる。𡴆は『説文解字・屮部』に菌𡴆、地蕈、田中に叢生す
とあつて、菌草の類。その籀文に三𡴆を重ねた形があり、陸の籀文の字形もその形に從ふ。
陸は聖所の象、坴はその施設に關する字。『説文解字』夌字條に越ゆるなり
とあつて、凌遲の意があり、聖所を凌轢する意であらう。坴は陸字、坴字との関聯において解すべき字である。陸は聖梯の前に幕舍を連ねる意と考へられる。
藤堂
屬性
- 坴
- U+5774
- JIS: 2-4-71
関聯字
𡴆や坴に從ふ字を漢字私註部別一覽・屮部・𡴆枝に蒐める。