宣 - 漢字私註
説文解字
- 宣あるいは𡨈につくる。
天子宣室也。从宀𠄢聲。
- 七・宀部
康煕字典
- 部・劃數
- 宀部六劃
- 古文
- 𡩦
『唐韻』須緣切『集韻』『韻會』荀緣切『正韻』息緣切、𠀤音瑄。『說文』天子宣室也。从宀𠄢聲。『徐鉉曰』从回、風回轉、所以宣隂陽也。
又『爾雅・釋言』徧也。『詩・大雅』旣順廼宣。《註》順、安。宣、徧也。
又『左傳・賈註』通也。『詩・周頌』宣哲維人。《註》宣、通。哲、智也。
又布也、散也。『書・臯陶謨』日宣三德。『禮・月令』季秋、會天地之藏、無有宣出。《註》物皆收斂、無有宣露出散也。
又『增韻』召也。『包佶詩』隔屛初聽玉音宣。
又『爾雅・釋言』緩也。
又盡也、明也、示也。『周語』爲川者、決之使導。爲民者、宣之使言。又『左傳・成十三年』是用宣之、以懲不壹。
又『詔書別錄』唐故事、中書舍人掌詔誥、皆寫兩本、一爲底、一爲宣、在中書可檢覆、謂之正宣。
又『諡法』善聞周達曰宣。一曰聖善周聞曰宣。
又『周禮・冬官考工記』車人之事、半矩謂之宣。
又『爾雅・釋器』璧大六寸、謂之宣。『郭璞註』漢書瑄玉是也。瑄宣同。
又州名。吳宣城郡、唐改宣州。
又姓。『正字通』東漢人宣秉。
又頭髮皓落也。『易・說卦』巽爲宣髮。《註》髮早白也。今文譌作寡髮。『釋文』寡本作宣。
又叶相倫切、音荀。『徐幹・齊都賦』日不遷晷、玄澤普宣。鶉火南飛、我后來巡。
『集韻』本作𡨈。
- 部・劃數
- 宀部十劃
- 部・劃數
- 宀部七劃
『說文』宣本字。
異體字
或體。
音訓
- 音
- セン(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・仙・宣』須縁切〉[xuān]{syun1}
- 訓
- のべる。のたまふ。あまねし。あきらか。
解字
白川
宀と亘の會意。宀は廟屋。亘は半圓形にめぐるものをいふことが多い。『周禮・考工記』に半矩謂之宣
(半矩、之を宣と謂ふ)とみえる。
『説文解字』に天子の宣室なり
とあり、『史記・賈誼傳』に孝文帝方受釐、坐宣室。
(孝文帝、方に釐(祭祀の餘肉)を受けて,宣室に坐す。)とあり、未央殿の前正室の名で、儀禮を行ふところであつたらしい。『淮南子・本經訓』に、紂が宣室で殺されたことが見え(下揭)、金文の《虢季子白盤》に、虢氏が玁狁を伐ち、獻馘の禮を行ひ、王、周廟に各り、宣榭に爰に鄕(饗)す
(下揭)とあり、ここに馘醜(敵將の首)を獻じた。また射儀なども、この宣榭で行はれてゐる。宣室の名は、室を半矩の形にとるその室の構造に由來するものであらう。
藤堂
宀(家)と音符亘の會意兼形聲。亘は、丸く取り卷いて區劃を區切るさま。宣は、周圍を垣で取り卷いた宮殿のこと。轉じて、あまねく巡らす意に用ゐる。
落合
建物の象形の宀と亘の會意、亘亦聲。亘は垣の意で、垣で圍まれた建物が原義である、とされる。
甲骨文では施設名に用ゐる。詳細な記述が見えない。《合補》9583丁巳卜、于南宣[⿱乇口]。
漢字多功能字庫
宣は皇帝の宮室の名。宣布、宣揚の義を派生する。
高鴻縉は、亘は雲氣が天の下にあり、伸びたり卷いたり自由自在なさまを象るとし、宀を加へて宣につくり、光が入り換氣の良い室のこととする。
『史記・屈原賈生列傳』(上揭)は、文帝は福を受けたばかりで、宣室に坐することをいふ。『淮南子・本經訓』武王甲卒三千、破紂牧野、殺之宣室。
高誘注宣室、殷宮名。一曰、宣室、獄也。
金文での用義は次のとほり。
- 宮廷の建築物の名稱に用ゐる。虢季子白盤
王各(格)周廟宣榭
(上揭)は、周王が周室宗廟の臺榭に來たことをいふ。宣榭は周太廟の中の講武堂で、楹柱だけがあつて牆壁がなく、專ら周王が武功を宣揚し、功臣を饗應するのに用ゐられる(王文耀)。『春秋・宣公十六年』夏、成周宣榭火。
杜預注《傳例》曰、榭、講武屋。
孔穎達疏服虔云、楊威武之處、義或當然也。
- 樂律名に用ゐる。曾侯乙鐘
宣鐘
を讀んで「圜鐘」となし、古十二樂律の中の六陰律の一。『周禮・春官宗伯・大司樂』凡樂、圜鍾為宮、黃鍾為角、大蔟為徵、姑洗為羽
。
『詛楚文・湫淵』敢用吉玉宣(瑄)璧
、『漢書・郊祀志』有司奉瑄玉。
『爾雅・釋器』璧大六寸謂之宣
、郭璞注『漢書』所謂瑄玉是也。
『經典釋文』宣、本或作瑄。
屬性
- 宣
- U+5BA3
- JIS: 1-32-75
- 當用漢字・常用漢字
- 𡩦
- U+21A66
- 𡨈
- U+21A08
- 𡪏
- U+21A8F
関聯字
宣聲の字
- 瑄
- 萱
- 喧
- 愃