亘 - 漢字私註

説文解字

亘
あるいは𠄢に作る。
求亘也。从。囘、古文回、象亘回形。上下、所求物也。
十三二部

康煕字典

部・劃數
二部四劃

『集韻』『韻會』荀緣切『正韻』息緣切、𠀤音宣。『說文』求宣也。揚布也。

又與同。烏亘、外國名。

○按亘本作𠄢、與亙字不同。亙从二从舟。舟今作亙。𠄢从二从囘、囘卽回字、今从日作亘。又毛晃曰、紹興二年、禮部看詳姓氏、从水从亘、水名。从木从亘、木名。从木从亘者、皆定讀曰亘。若『晉書』亘彝、亘溫、『書・禹貢』西傾因亘是來之類是也。

部・劃數
二部四劃

『說文』本字。从二从囘。囘、古文回。象𠄢回形。上下所求物也。《徐鍇曰》回風回轉、所以宣隂陽也。

音訓・用義

(1) セン(漢、呉) 〈『集韻』荀緣切、音宣、平聲仙韻〉[xuān]
(2) クヮン
(1) めぐる。もとめる。

音(2)は、に同じく用ゐる場合。

解字

白川

象形。建物の周邊にめぐらした垣の形に象る。垣牆の平面形と見て良い。

説文解字・木部』㮓字條の古文に亙があり、兩岸の間に舟のある象。「わたる」と訓ずるのはその字で、亘とはもと別の字。

藤堂

上下二線と、めぐるさまを示す印の會意。ぐるりとめぐらす意を示す。

落合

象形。回り込む形を表してゐる。垣の象形でその初文と言はれるが、甲骨文には原義での用例がなく、抽象的な指示記號とする説もある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 地名またはその長。第一期(武丁代)には貞人としても見える。また殷王に敵對する記述もある。
    • 《合集》10148壬辰卜貞、亘亡禍。
    • 《合集》6947戊午卜㱿貞、雀追亘、有獲。
  2. 動詞。詳細不明。《合集》14912…王亘于西。六月。
  3. 祭祀對象。洹水を意味する洹の略體。亘水と表記されることもある。

字形は篆文で上下に圍ひを表す橫劃が加へられ、隸書で囘が日に變へられた。

恆(恒)の初文の亙は別字であるが、隸書以降には混同が見られる。

漢字多功能字庫

回字條に、と亘は一字の分化したもの、とする。

屬性

U+4E98
JIS: 1-47-43
人名用漢字
𠄢
U+20122

関聯字

亘に從ふ字

漢字私註部別一覽・回部・亘枝に蒐める。

其の他

亘と亙は別字。人名用漢字の表では同字異體とされてゐるが、別字。