回 - 漢字私註
説文解字
轉也。从囗、中象回轉形。
- 六・囗部
古文。
康煕字典
- 部・劃數
- 囗部三劃
『唐韻』戸恢切『集韻』『韻會』『正韻』胡隈切、𠀤音洄。『說文』从囗、中象回轉之形。『徐鍇曰』渾天之氣、天地相承。天周地外、隂陽五行、回轉其中也。
又『說文』邪也、曲也。『詩・小雅』淑人君子、其德不回。『禮・禮器』禮飾回、增美質、措則正、施則行。
又『正韻』返也。『後漢・蔡邕傳』回途要至、俯仰取容。
又『廣韻』違也。『詩・大雅』求福不回。『又』徐方不回。《註》回猶違也、言不違命也。
又『詩・大雅』昭回于天。《註》昭、明。回、旋也。
又屈也。『後漢・盧植傳』可加赦恕申宥回枉。『又』抗議不回。
又徘回。『說文』徘徊本作裵回。寬衣也、取其裵回之狀。『張衡・思玄賦』馬倚輈而徘回。《註》言踟躊不進也。
又低回、紆衍貌。『史記・孔子世家贊』適魯、觀仲尼車服禮器、余低回留之、不能去。『前漢・揚雄傳』大道低回。
又姓。『韻會』古賢者方回之後。『正字通』明宣德中御史回續。
又地名。『後漢・郡國志』右扶風有回城、名曰回中。
又通作迴。『荀子・儒效篇』圖迴天下於掌上。
又通作廻。『史記・鄒陽傳』墨子廻車。
又『正字通』回回、國名。西域大食國種也。明丘濬曰、國在玉門關外萬里、𨻰隋閒入中國。金元以後、蔓延滋甚、所至輒相親守、其所謂敎門者尤篤、今在在有之。
又『集韻』『韻會』𠀤戸賄切、音悔。繞也。『左傳・襄十八年』右回梅山。徐邈讀上聲。
又『集韻』『韻會』𠀤胡對切、音繢。『前漢・趙充國傳』回遠千里。《註》回謂路迂回也、音胡悔反。
又畏避也。『前漢・王溫舒傳』卽有避回。《註》謂不盡意、捕擊盜賊。又『蓋寬饒傳』刺舉無所回避。《註》回𠀤讀若諱。
俗作囬。
- 部・劃數
- 囗部二劃
『說文』回本字。『徐鍇曰』中象旋轉之形。
- 部・劃數
- 囗部・四劃
『正字通』俗回字。又『鄞本監韻』回作囬、非。囬乃古面字也。
音訓
- 音
- クヮイ(漢) ヱ(呉) 〈『廣韻・上平聲・灰・回』户恢切〉
- 訓
- めぐる。かへす。かへる(回歸)。よこしま。たがふ。たび(回數)。まはす。まはる。
解字
白川
象形。水の回流する形。
『説文解字』に轉ずるなり
とするが、淵字條に回水なり
とあり、孔門の顏回、字は子淵。いはゆる名字對待。
水の巡る意より、すべて旋回することをいふ。
藤堂
象形。廻轉するさま。または、小さい圍ひの外に大きい圍ひを巡らしたさまを描いたもの。
漢字多功能字庫
回と亘は一字の分化。商周文字の回はぐるぐる回る形を象り、戰國文字で二個の環の形の書き方が出現し、後世の字形の元となつた。本義はぐるぐる回ること。
- 『詩・大雅・雲漢』
倬彼雲漢、昭回于天。
《毛傳》回、轉也。
- 『荀子・致士』
水深而回
楊倞注回、流旋也。
- 『楚辭・九章・悲回風』
悲回風之搖蕙兮
朱熹集注回風、旋轉之風也。
「回風」とは旋風のこと。
更に以下の意に用ゐる。
- 曲折、迂回を表す。
- 『漢書・趙充國辛慶忌傳』
武賢欲輕引萬騎、分為兩道出張掖、回遠千里。」顏師古注「「回、謂路紆曲也。
- 西晉・陸機〈答張士然〉
回渠繞曲陌、通波扶直阡。
- 唐・杜牧〈阿房宮賦〉
廊腰縵迴、檐牙高啄。
- 『漢書・趙充國辛慶忌傳』
- 方向を變へる、振り返る、轉回することを表す。
- 『楚辭・離騷』
回朕車以復路兮、及行迷之未遠。
王逸注回,旋也。
- 『後漢書・方術列傳』
其後潁川兵起、乃回駕而還。
- 引き返す、戻るの意を派生する。
- 李白〈將進酒〉
君不見黃河之水天上來、奔流到海不復回。
- 賀知章〈回鄉偶書〉
少小離家老大回、鄉音無改鬢毛衰。
。
- 李白〈將進酒〉
- 『楚辭・離騷』
- 取り圍むことを表す。
- 『漢書・司馬遷傳』
是以腸一日而九回、居則忽忽若有所亡、出則不知所如往。
- 『後漢書・袁紹劉表列傳』
操乃鑿塹圍城,周回四十里。
- 銀雀山漢墓竹簡《孫臏兵法・五名五恭》
出則擊之、不出則回之。
- 『漢書・司馬遷傳』
- 改變、變化を表す。
- 『漢書・賈誼傳』
夫移風易俗、使天下回心而鄉道、類非俗吏之所能為也。
- 『三國志・魏書・鍾會傳』
農不易畝、市不回肆。
- 『漢書・賈誼傳』
- 違逆、違背を表す。
- 『詩・大雅・大明』
厥德不回、以受方國。
《毛傳》回,違也。
- 『禮記・樂記』
倡和有應、回邪曲直、各歸其分。
孔穎達疏回、謂乖違。
- 北宋・蘇軾《東坡志林・趙高李斯》
二人之不敢請、亦知始皇之鷙悍而不可回也。
- 『詩・大雅・大明』
- 邪僻を表す。
- 『書・泰誓下』
崇信姦回、放黜師保。
孔安國傳回、邪也。
- 『國語・魯語』
若君縱私回而棄民事、民旁有慝、無由省之、益邪多矣。
- 『漢書・王商史丹傅喜傳』
不遵法度以翼國家、而回辟下媚以進其私、執左道以亂政。
- 『書・泰誓下』
- 回答すること、返事することを表す。
- 北宋・沈括《夢溪筆談・人事二》
有一縣令使人獨不肯去、須責回書。
- 清・李漁《奈何天・逼嫁》
你為甚麼不當面回他。
- 北宋・沈括《夢溪筆談・人事二》
- 量詞として次數を表す。
- 唐・李白〈少年行〉
桃李栽來幾度春、一回花落一回新。
- 杜甫〈贈花卿〉
此曲只應天上有、人間能得幾回聞。
- 章回小説で、章節を表す。
- 唐・李白〈少年行〉
屬性
- 回
- U+56DE
- JIS: 1-18-83
- 當用漢字・常用漢字
- 囘
- U+56D8
- JIS: 1-49-37
- 囬
- U+56EC