毋 - 漢字私註
説文解字
止之也。从女。有奸之者。凡毋之屬皆从毋。
- 十二・毋部
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』武扶切『集韻』『韻會』『正韻』微夫切、𠀤音無。『說文』止之也。其字从女、內有一畫、象姦之形。禁止之、勿令姦。『禮・曲禮』毋不敬。《註》毋、止之辭。古人云、毋、猶今人言莫也。又『儀禮・士相見禮』毋上于面、毋下于帶。『鄭註』古文毋爲無。『賈公彥疏』今不从者。『說文』云毋、禁辭、故不从有無之無也。
又將毋、毋乃、皆發問之辭、與無通。『韓詩外傳』客有見周公者、曰、入乎將毋。公曰、請入。坐乎將毋。公曰、請坐。言乎將毋。公唯唯。
又姓。『廣韻』毋丘或爲毋氏。又漢複姓、八氏。『漢書・貨殖傳』有毋鹽氏、巨富、齊毋鹽邑大夫之後。漢有執金吾東海毋將隆、將作、大匠毋丘興。『風俗通』有樂安毋車伯奇、爲下邳相、有主簿步邵南、時人稱毋車府君步主簿。『何氏姓苑』云有毋終氏、『左傳』魯大夫兹毋還、晉大夫綦毋張、『漢書』有巨毋霸、王莽改爲巨毋氏。
又甯毋、地名。『穀梁傳』作寧毋。毋音無。又茂后反。『公羊傳』音同。
又『集韻』『韻會』𠀤迷浮切、音謀。毋追、夏后氏緇布冠名。『禮・郊特牲』毋追、夏后氏之道也。
又『集韻』罔甫切、音武。與䳇、鵡同。鸚䳇、鳥名。或从武、亦省作毋。
與父母之母不同。
音訓
- 音
- ブ(漢) ム(呉) 〈『廣韻・上平聲・虞・無』武夫切〉
- 訓
- なかれ。なし。
解字
古く母字を否定の意に假借し、それを後に毋字として分化した。
白川
もと母字で象形。金文に母の字形のままで打消に用ゐる。のち兩乳を直線化して、母、毋を區別した。
説文解字に之を止むるなり。女に從ふ。之れを奸す者有り。
とし、『繫傳』に能く守ること有るなり。此れ指示なり。
とするが、聲による假借義である。
禁止の意に無、亡、莫などの音を借り用ゐる。無は舞の初文、亡は死亡者の骨、莫は暮の初文で、それぞれ別に本義のある字。
藤堂
指示。女と一印から成り、女性を犯してはならないと差し止めることを一印で示したもの。ないの意を含む。特に禁止の場合に多く用ゐられる。
落合
母の同源字。
甲骨文では母と未分化の女を假借して否定の助辭に用ゐ、毋に當たる。《甲骨拼合集》145婦好毋其有子。
漢字多功能字庫
毋字條
甲骨文、金文では、毋は母字を借りて表した。
母字條
甲骨文では母字の用法の一として、假借して毋となし、不を表す。
金文では母字の用法の一として、假借して毋となし、不を表す。
- 善夫山鼎
母(毋)敢不善。
- 中山王鼎
母(毋)富而喬(驕)、母(毋)眾而囂。
『論語・憲問』貧而無怨難、富而無驕易。
女字條
甲骨文では女字の用法の一として、毋と讀み、不を表す。
屬性
- 毋
- U+6BCB
- JIS: 1-61-57
関聯字
毋に從ふ字
- 毐