玆 - 漢字私註
説文解字
黑也。从二玄。『春秋傳』曰、何故使吾水兹。子之切。
- 四・玄部
説文解字注
黑也。从二玄。胡涓切。十二部。今本子之切。非也。按『左傳』何故使吾水玆。『釋文』曰、玆音玄。此相傳古音。在十二部也。又曰、本亦作滋。子絲反。此俗加水作滋。因誤認爲滋。益字而入之之韵也。《艸部》茲從絲省聲。凡《水部》之滋、《子部》之孳、《鳥部》之鷀、皆以茲爲聲。而玆滋字衹當音懸。不當音孜。『廣韵・七之』作滋、『〔同〕一先』作滋。〔註1〕音義各不同爲是也。且訓此之茲本假借從艸之茲、而不當用二玄之玆。《蔡邕石經》見於𥻳釋、漢𥻳字原者、『尙書』茲字五見。皆从艸。則《唐石經》皆作玆者非矣。今本『說文』滋孳鷀篆體皆誤從玆。『春秋傳』曰、何故使吾水玆。見『左傳・哀八年』。『釋文』曰、玆音玄。本亦作滋。子絲反。濁也。『字林』云、黑也。按宋本如是。今本玆滋互易。非也。且本亦作滋。則仍胡㳙切。不同《水部》滋水字子絲反也。陸氏誤合二字爲一。
- 註1
『廣韵・七之』作滋
の滋は兹に從ひ、『一先』作滋
の滋は玆に從ふ。他の箇所も同樣に書き分ける。
康煕字典
- 部・劃數
- 玄部五劃
- 古文
- 𢆶
『廣韻』子之切『集韻』『韻會』津之切『正韻』津私切、𠀤音孜。『說文』黑也。『玉篇』濁也、黑也。或作𪑿滋。『左傳・哀八年』何故使吾水滋。《註》滋、本又作兹。子絲反。【字林】云、黑也。
又姓。『左傳・定十年』孔子使兹無還揖對。
又『說文・徐鍇註』借爲兹此字。『爾雅・釋詁』此也。『書・大禹謨』念兹、在兹。○按『爾雅』『尚書』本作兹。『正字通』仍『韻會』之譌、攺入兹字註、反駁从玄之非、誤。又引孫氏說、今年亦曰今兹、从艸木兹生紀也、尤鑿。
又神名。『山海經』西海陼中有神、人面鳥身、珥兩靑蛇、踐兩赤蛇、名曰弇兹。
又『廣韻』『集韻』𠀤瑚涓切、音懸。黑也。『左傳・哀八年釋文』兹、音玄。
〇按兹、玆二字、音同義別。从玄者、子之、瑚涓二切、訓黑也、此也、姓也。从艸者、子之、牆之二切、訓艸木多益也、蓐也、國名。今各韻書互相蒙混、如『廣韻』『韻會』兹字訓國名、『集韻』兹字訓蓐也、『韻會』『字彙』『正字通』兹字訓此也、非當時編輯之譌、卽後人刊刻之誤。『正韻』有玆無兹、合玆、兹二字訓義爲一、尤爲疎漏。今从『說文』幷各書、重爲訂正。
- 部・劃數
- 黑部十劃
『廣韻』子之切『集韻』津之切、𠀤音兹。『廣韻』染黑。『集韻』深黑色。『正字通』本作玆。俗加黑。
廣韻
- 四聲・韻・小韻
- 上平聲・之・兹
- 反切
- 子之切
染黑。
- 四聲・韻・小韻
- 下平聲・先・玄
- 反切
- 胡㳙切
『說文』曰「黒也。【春秋傳】曰、何故使君水玆。」
本亦音滋。按本經只作滋。
音訓
- 音
- (1) クヱン(漢) グヱン(呉) 〈『廣韻・下平聲・先・玄』胡㳙切〉[xuán]{jyun4}
- (2) シ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・之・兹』子之切〉[zī]{zi1}
- 訓
- くろい
- (2) この。これ。ここに。
藤堂は玆字について「くろい」の訓義には音(1)に讀むとするが、上揭字書は音(1)(2)を共に示す。
音義(2)は茲との混用による。
解字
白川
玄を竝べた形で黑の意。(『字通』玄字條)
藤堂
會意。玄(くろい、くらい)を二つ合はせたもの。
屬性
- 玆
- U+7386
- JIS X 0212: 43-49
- 𪑿
- U+2A47F
関聯字
茲は別字だが、字書にも混同が見える。