𢆶 - 漢字私註
説文解字
微也。从二幺。凡𢆶之屬皆从𢆶。
- 四・𢆶部
康煕字典
- 部・劃數
- 幺部・三劃
『唐韻』『集韻』𠀤於虯切、音幽。『說文』𢆶微也。『廣韻』微小也。『元包經』俶幺𢆶、卒飄飍。《傳》俶幺𢆶、始於細微也。卒飄飍、終能强盛也。
又『集韻』兹古作𢆶。註詳玄部五畫。
音訓
- 音
- (1) イウ(漢)(呉) 〈『廣韻・下平聲・幽・幽』於虯切〉
- (2-1) ジ(呉) シ(漢)
- (2-2) シ(漢)(呉)
- 訓
- (1) ちひさい。かすか。
- (2) この。
(2)の音義は茲に同じ。
解字
白川
二幺の會意。
説文解字は幺字條に小なり。子の初めて生まるるの形に象る。
とし、𢆶字條に微かなり。二幺に從ふ。
とするが、二幺を列しても微小の意とはならない。また幽字條に隱るるなり
とし、山中に微かに隱れる意で、𢆶の亦聲とする。𢆶を幽微の意とするが、𢆶は絲束を列べた形、幽はそれに火を加へて燻べ、幽黑の色を加へる形、その山は古い字形では火の形。
𢆶は茲の初文で、金文に「𢆶の人」「𢆶の彝」のやうに用ゐる。まれに「絲の五人」のやうに絲に作ることがある。幺は絲束、これに木を通して拗ることを幼といひ、その動作を拗といふ。
幽、拗と、𢆶、茲と、聲義に二系があるが、本來は幺は絲束の形。
藤堂
會意兼形聲。幺(細い生絲)を二つ竝べた形。幺は音符を兼ねる。
落合
茲の初文。
𢆶、茲は字音の違ひが大きく、幽によつて𢆶の字音が變化した可能性もある。
漢字多功能字庫
甲骨文は二束の絲の形を象り、本義は絹絲。𢆶と絲はどちらも二束の絲の形を象る。しかし𢆶は上下兩端の緒の形がなく、兩字は甲骨文において用法に區別がある。金文の𢆶、絲は、初め用法が相混ざり、故に李孝定、張世超などは𢆶と絲は同字の異體であるとする。晩周あるいは春秋以後、初めて二字に分化した。
甲骨文、金文では借りて近くを指す代詞を表し、此と同義、典籍に茲に作る。師同鼎用鑄𢆶(茲)尊鼎
。
金文ではまた用ゐて絲となす。商卣𢆶(絲)廿寽
。
𢆶は漢字の重要な構成要素で、許多のとても抽象的な字の組成が𢆶に關はる。
屬性
- 𢆶
- U+221B6