半 - 漢字私註
説文解字
物中分也。从八从牛。牛爲物大、可以分也。凡半之屬皆从半。
- 二・半部
説文解字注
物中分也。从八牛。牛爲物大、可㠯分也。故取牛會意。凡半之屬皆从半。博幔切。十四部。
康煕字典
- 部・劃數
- 十部三劃
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤博漫切、般去聲。『說文』物中分也。从八从牛。牛爲物大、可以分也。『易・繫辭』思過半矣。『禮・學記』不善學者、師勤而功半。『韓非子・內儲篇』疑也者、以爲可者半、不可者半。
又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤普半切、音泮。大片也。『前漢・李陵傳』令軍士人持二升糒、一半冰。《註》師古曰、半、讀曰判。判、大片也。
又『韻補』叶𤰞眠切、音鞭。『道藏謌』遊雲落太陽、颰景凌三天。千秋似淸旦、萬歲猶日半。
音訓
- 音
- ハン(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・換・半』博慢切〉[bàn]{bun3}
- 訓
- なかば。わかつ。
解字
白川
象形。半體の肉の形に象る。上部の八は兩分する意。
『説文解字』に、牛を兩分する意とする。
『周禮・天官・腊人』掌乾肉、凡田獸之脯腊膴胖之事。
の膴胖とは夾脊肉、胖はその片身。
のち牲肉に限らず全ての物を兩半したものを半といふ。
藤堂
牛と八印の會意。牛は物の代表。八印は兩方に分ける意を示し、何かを二つに分けること。
八は半の入聲(詰まり音)に當たるから、牛と音符八の會意兼形聲字と考へても良い。
落合
初文は八と牛から成り、大きなものを半分にする意。秦代に牛の略體(に作る)を使用したものがあり、それが後代に繼承された。
八亦聲とする説があるが、八の上古音を質部(復元音は[pet]など)とする説と、月部(同じく[puat]など)とする説があり、字音の關聯は明らかではない。(補註: 落合『漢字字形史小字典』に據れば半の上古音は幫紐元部(復元音は[puan]あるいは[pan])。)
漢字多功能字庫
春秋金文は八と牛に從ひ、八亦聲。牛を割いて兩半するの意と解き、判の初文(何琳儀)。本義は剖き開くこと。轉じて一半の意。八は分け開かれ兩半された物體を象り、半の意符でもあり聲符でもある。春秋戰國の文字はあるいは意符の牛を斗(十三年上官鼎や侯馬盟書の字形を參照)や升(子禾子釜)に改めるが、斗や升は先秦の量器で、半斗あるいは半升の意と解ける。張光裕は、當時人々の交易で半斗を物を量る單位としたことの顯れであるとする。後に、意符の斗を形の近い聲符の刃に改める(半𧷔鼎、古幣の字形を參照)。
金文では數詞に用ゐ、一半を表す。秦公簋一斗七升大半升
。
古璽では姓氏に用ゐる。
漢帛書では假借して磐となす。《馬王堆帛書・六十四卦・屯》第27行初九、半遠、利居貞、利建侯。
「半遠」は傳世本『周易』に「磐桓」に作り、「磐桓」は「盤桓」、徘徊して進まざるさま。
屬性
- 半
- U+534A
- JIS: 1-40-30
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
半に從ふ字を漢字私註部別一覽・八部・半枝に蒐める。