刀 - 漢字私註
説文解字
兵也。象形。凡刀之屬皆从刀。都牢切。
- 四・刀部
説文解字注
兵也。刀者兵之一也。『衞風』假借爲𦩍字。
象形。都牢切。二部。
凡刀之屬皆从刀。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』『集韻』『韻會』都勞切『正韻』都高切、𠀤到平聲。〔音1〕『說文』兵也。象形。《徐曰》象刀背與刃也。『釋名〔釋兵〕』刀、到也。以斬伐到其所也。『玉篇』所以割也。『左傳・襄三十一年』未能操刀而使割也。
又錢名。『初學記』黃帝採首山之銅、始鑄爲刀。『史記・平準書』龜貝金錢刀布之幣興焉。《註》索隱曰、刀者、錢也。以其形如刀。『前漢・食貨志』利於刀。《註》如淳曰、名錢爲刀者、以其利於民也。
又『詩・衞風』誰謂河廣、曾不容刀。《朱註》小船曰刀。『正韻』小船形如刀。
- 部・劃數
- 刀部(零劃)
『韻會』刀、隷或作刂。
- 部・劃數
- 金部・二劃
『集韻』與刀同。
音訓義
- 音
- タウ(漢)(呉) ト(呉)⦅一⦆
- 訓
- かたな⦅一⦆
- ふね⦅一⦆
- 官話
- dāo⦅一⦆
- 粤語
- dou1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・下平聲・豪・刀』都牢切
- 『集韻・平聲三・𩫞第六・刀』都勞切
- 『五音集韻・中平聲卷第四・豪第十四・端一刀』都牢切
- 聲母
- 端(舌頭音・全清)
- 等呼
- 一
- 官話
- dāo
- 粤語
- dou1
- 日本語音
- タウ(漢)(呉)
- ト(呉)
- 訓
- かたな
- ふね
- 義
- 片刃の武器。刀劍。刀戟。
- 刃物の總稱。
- 刀の形のもの。刀圭。
- 刀の形の貨幣。刀布。刀貨。
- 小舟。舠に通ず。
- 釋
- 『廣韻』
刀: 『釋名』云「刀、到也、以斬伐到其所也」。『說文』云「兵也」。都牢切。七。
- 『集韻』
刀釖: 都勞切。『說文』兵也。或从金。文十二。
- 『康煕字典』上揭。
解字
白川
象形。刀の形に象る。
『説文解字』に兵なり
とあり、兵とは武器をいふ。左右兩刃は劍。刀は一刃、上部に握環がある。
のち通貨にその形を用ゐて、刀錢、刀幣といふ。
また簡札を削るのに用ゐたので、書記のことを刀筆の吏といふ。
藤堂
象形。刃の反つた刀を描いたもの。丿型に反る意を含む。
落合
片刃の武器である刀の象形。下部を刃とする説もあるが、例へば分で對象を切り分けてゐるのは上部であり、本來は上部が刃。甲骨文の異體字には上下を逆にしたものもある。
殷王朝の主力武器は戈や弓矢などであり、刀は小振りのものが補助的に用ゐられてゐた。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 動詞。刀を持つことか。《合集》21623
辛巳卜貞、夢亞雀捍、余刀、諾。
- 地名またはその長。召の略體の可能性が高い。《殷墟小屯中村南甲骨》66
辛丑卜、王征刀方。
- 漁刀
- 漁撈の意。この場合の刀は釣り針の象形かも知れない。
甲骨文の要素としては、主に刀による切斷や殺傷を意味して用ゐられる。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は刀の形に象る。古い武器。上邊は刀の刃、下邊は刀の柄。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 方國名に用ゐる。《合集》33035
辛亥貞、王正(征)刀方。
は王が刀國を征伐することを表す。 - 地名や人名に用ゐる。
早期金文では族氏名に用ゐる。
戰國金文では重量の單位に用ゐる。
- 三年壺
冢(重)四百七十四刀之冢(重)
。 - 八年匜
冢(重)七十刀之冢(重)
。
傳世文獻では刀を假借して舟となし、小船を表す。この義では後に舟を加へて舠に作る。『詩・衛風・河廣』誰謂河廣、曾不容刀。
鄭玄箋小船曰刀。
このほか、刀にはもと刁の音があり、姓氏を表す刁は、はじめ刀を用ゐて表し、後に刀の一撇を一趯に變へて、刁字を分化した(王鳴盛、裘錫圭)。
刀は先秦期の金屬で鑄られた貨幣の一種で、その形は青銅の削刀に由來する(參・黃錫全)。
- 『荀子・榮辱』「餘刀布」楊倞注
刀、布皆錢也。
- 『史記・平準書』
農工商交易之路通、而龜貝金錢刀布之幣興焉。
屬性
- 刀
- U+5200
- JIS: 1-37-65
- 當用漢字・常用漢字
- 刂
- U+5202
- JIS: 2-3-21
- JIS X 0212: 19-17
- 釖
- U+91D6
- JIS: 1-78-59
関聯字
刀に從ふ字を漢字私註部別一覽・刀部に蒐める。