則 - 漢字私註
説文解字
等畫物也。从刀从貝。貝、古之物貨也。
- 四・刀部
古文則。
- 𠞋
亦古文則。
籒文則从鼎。
康煕字典
- 部・劃數
- 刀部七劃
- 古文
- 𠟻
- 𠟭
- 𠞋
- 𠟔
『唐韻』『正韻』子德切『集韻』『韻會』卽德切、𠀤音側。『說文』則等畫物也。从刀貝。貝、古之物貨也。『徐曰』則、節也。取用有節、刀所以裁制之也。
又『玉篇』法也。『爾雅・釋詁』則、常也。《疏》謂常禮法也。『周禮・天官・冢宰』以八則治都鄙。『鄭註』則、法也。
又『增韻』凡制度品式皆曰則。『書・說命』明哲實作則。
又天理不差曰則。『易・乾卦』乃見天則。『詩・大雅』順帝之則。
又法其可法者曰則。『書・無逸』繼自今嗣王、則其無淫于觀、于逸、于遊、于田。《註》戒成王效法文王也。『詩・小雅』君子是則是傚。
又『周禮・五命賜則註』地未成國之名。
又夷則、七月律名。『前漢・律歷志』則、法也。言陽氣法度、而使隂氣夷當傷之物。
又『韻會』助辭、又然後之辭。『論語』行有餘力、則以學文。
- 部・劃數
- 刀部十四劃
『玉篇』古文則字。註見七畫。
又『集韻』䢙古作𠟻、註見辵部七畫。
- 部・劃數
- 刀部十三劃
『唐韻』『集韻』𠀤古文則字。註見七畫。
- 部・劃數
- 刀部十劃
『集韻』則古作𠞋。註詳七畫。
- 部・劃數
- 刀部十二劃
『集韻』則古作𠟔。註見七畫。
異體字
簡体字。
音訓
- 音
- ソク(漢、呉) 〈『廣韻・入聲・德・則』子德切〉
- 訓
- のり。のつとる。すなはち。
解字
鼎と刀の會意。現用字の偏は鼎の略體。鼎に法則を刻む意と解するのが適當か。
白川
正字は𠟭に作り、鼎と刀の會意。鼎側に刀を加へて銘文として刻する意。敍任や賜賞など、重要なことは鼎銘に刻して記錄し、あるいは約劑とした。約劑は契約書、劑はもと𪔉に從ふ字で、𪔉とは方鼎をいふ。圓鼎に刻したものを則、方鼎に刻したものを劑といふ。鼎銘に刻するところは規範とすべきものであるから、定則、法則の意となる。
また承接の語に用ゐ、金文には行爲の儀節の間に加へて「𠟭ち拜す」「𠟭ち誓ふ」のやうにいふ。
また物を分別していふときにも用ゐる。
藤堂
刀と鼎の略形の會意。鼎にスープや肉を入れ、すぐそばにナイフを添へたさま。そばにくつついて離れない意を含む。卽(そばにくつつく)と同じ。
轉じて、常に寄り添ふ法則の意となり、更に甲の後すぐ乙がくつついて起こる意を表す助辭となつた。
漢字多功能字庫
金文は鼎と刀に從ひ、刀を用ゐて鼎の上に字を刻して法則となすことを表す。本義は法則。『左傳・昭公六年』鄭人鑄刑書
杜預注鑄刑書於鼎、以為國之常法
。則字は今に至つても原義を保留する。しかしまた虛詞の則に假借する。
戰國竹簡では鼎を往々にして貝に作り、小篆のもととなる。いまの則字中の貝はその實古文字の鼎の變形。竹簡では鼎の形はあるいは目の形に簡化され、下に二橫劃を簡化符號として加へる。
金文での用義は次のとほり。
- 法則を遵守せしめることを表す。師詢簋
不(丕)顯文武、膺受天令(命)、亦則殷民。
は、盛んなる周の文王、武王は、天命を受け、殷の遺民に周朝の法則を遵守せしめるの意。 - 連詞に用ゐる。中山王方壺
辭禮敬則賢人至
。 - 鑄刻、記載を表す。𠫑羌鐘
明則之于銘
は、明晰に銘文中に刻するの意。
戰國竹簡では連詞に用ゐる。
- 《郭店簡・五行》簡6
[不]安則不藥(樂)、不藥(樂)則亡(無)惪(德)。
- 《郭店簡・五行》簡29
和則樂、樂則又(有)惪(德)。
- 《郭店簡・尊德義》簡33
不忠則不信
。 - 《上博竹書一・緇衣》簡17
則民慎於言而謹於行
。 - 《上博竹書二・從政甲》簡7
不敬則事亡(無)城(成)
。 - 《上博竹書七・武王踐阼》簡14
敬勝怠則吉
。 - 《清華簡一・耆夜》簡11
母(毋)巳(已)大藥(樂)、則終以康、康藥(樂)而母(毋)忘(荒)、是隹(惟)良士之䢍䢍。
漢帛書では測の通假字となす。《馬王堆帛書・老子乙本卷前古佚書・道原》第170行上道高而不可察也、深而不可則(測)也。
屬性
- 則
- U+5247
- JIS: 1-34-8
- 當用漢字・常用漢字
- 𠟻
- U+207FB
- 𠟭
- U+207ED
- 𠞋
- U+2078B
- 𠟔
- U+207D4
- 则
- U+5219
関聯字
則聲の字
- 萴
- 側
- 廁
- 惻
- 測
- 鰂
- 𡍫