賊 - 漢字私註

説文解字

賊
𧵪あるいはに作る。
敗也。从聲。
十二戈部

康煕字典

部・劃數
貝部六劃

『說文』昨則切。敗也。从戈則聲。『類篇』隷作。詳賊字註。

部・劃數
貝部六劃

『廣韻』昨則切『集韻』『韻會』疾則切、𠀤音蠈。盜也。『玉篇』刧人也。『書・舜典』𡨥賊姦宄。《傳》殺人曰賊。

又『詩・大雅』不僭不賊。《傳》不殘賊。又『左傳・僖九年』不僭不賊。《註》賊、傷害也。

又『周禮・夏官・大司馬』賊賢害民、則伐之。《疏》賊虐。

又害苗之蟲。『詩・小雅』去其螟螣、及其蟊賊。《傳》食節曰賊。『陸璣疏』賊似桃李中蠹蟲、赤頭身長而細耳。

異體字

簡体字。

音訓

ゾク(呉) ソク(漢) 〈『廣韻・入聲・德・賊』昨則切〉
そこなふ。ぬすむ。ころす。しひたげる。わるい。わるもの。あだ。

解字

白川

正字はもとに從ひ、鼎との會意。金文にはその字形に作る。鼎銘を戈でけづりとり、其の鼎銘を無效とする行爲をいふ。

説文解字に敗るなり。戈に從ひ則聲。とする。はもと𠟭に作り、鼎の銘刻をいふ。もしその聲をとるならば、𠟭の省聲といふべきである。

金文の《散氏盤》に余に、散氏を心に賊とすること有らば、則ち爰(鍰、罰金)千、罰千ならんといふ盟約の辭があり、そのやうな盟約に背き、これを廢棄することを賊といふ。

盜も血盟の盤中に㳄(涎)を加へて汚し、その盟約を穢し、盟約から離脱する行爲を示す字。盜賊とはただ財寶を掠め取る小盜の類ではなく、盟誓に違背する反逆的行爲をいふ。

藤堂

の會意。戎はと甲(鎧、兜)の會意で、戈や兜で脅しつけること。賊は、兇器で傷つけて財貨を取ることを表す。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ、則は聲符。戈に從ふに傷害の意がある。

『書・舜典』𡨥賊姦宄。孔安國《傳》殺人曰賊。

金文では傷害、加害を表す。散氏盤余有散氏心賊、則鞭千罰千。「心賊」は「賊心」、加害の心有るを表す。『史記・衛康叔世家』為武庚未集、恐其有賊心。

屬性

𧵪
U+27D6A
U+8CCA
JIS: 1-34-17
當用漢字・常用漢字
U+8D3C