酓 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
康煕字典
- 部・劃數
- 酉部・四劃
『廣韻』『集韻』𠀤於琰切、音黶。與檿同。『史記・夏本紀』其篚酓絲。《註》孔安國曰、酓、桑蠶絲、中爲琴瑟絃。
又『廣韻』酒味苦也。
又『集韻』徒南切、音覃。又呼含切、音㟏。又於念切、音𨡎。義𠀤同。
又『集韻』於豔切、音厭。酒盈量也。
又於錦切。同飮。
音訓
- 音
- (1) エム(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・琰・黶』於琰切〉[yǎn]{jim2}
- (2) イム(漢) オム(呉) 〈『康煕字典』於錦切、上聲寢韻〉[yǐn]{jam2}
- 訓
- (1) にがい。やまぐは。
- (2) のむ
解字
白川
酓は酒壺に蓋栓を加へた形で、飮の初文。
藤堂
落合
甲骨文は飮の異體。酉を意符、今を聲符とする形聲字。飮と今は上古音で同部。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文の飲字は、舌を伸ばした人の形と酉に從ひ、酒を飲む人の形全體を描いてゐる。酓は飲の省文で、ただ酒甁に向いた倒口を書いてゐる。金文はその後亼を聲符の今に改める。
甲骨文、金文では本義に用ゐ、飲むことを表す。
- 《合集》32344
王酓(飲)
。 - 麗簋
王酓(飲)多亞
。「多亞」は官名で、王が酒席を設け、多亞に飲ましむの意。 - 白乍姬觶
酓(飲)壺
は、宴會で用ゐる壺、つまり酒を入れる壺。
また楚國の姓に用ゐる。他國ではあるいは熊に作る。
- 楚王酓章鎛
楚王酓章乍曾侯乙宗彝
は、楚王熊章が曾侯乙のために宗廟祭祀で用ゐる器(彝)を鑄造するの意。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 飲むことを表す。
- 九店楚簡56號墓簡35
利於酓(飲)食
。 - 《上博竹書五・弟子問》簡8
酓(飲)酉(酒)
。
- 九店楚簡56號墓簡35
- 含の通假字となす。
- 《郭店簡・老子甲》簡33
酓(含)德之厚者、比於赤子
。(補註:『老子・第五十五章』に相當。)
- 《郭店簡・老子甲》簡33
- 人名に用ゐる。
- 新蔡楚簡零簡254
[祝]融、穴酓(熊)
の、祝融、穴熊は楚國の先祖のこと。熊字の韻部は、中古には東部に屬し、早期には東、冬の二部は分かれてゐない。冬部の字(ng尾)は上古には侵部(m尾)に屬し、現代閩南話(厦門、潮州など)では熊字と飲字の韻母は同じく、m尾で、上古音を保留してゐる。
- 新蔡楚簡零簡254
屬性
- 酓
- U+9153
- JIS X 0212: 66-55
関聯字
酓聲の字
- 韽
- 䨄
- 盦
- 㱃
- 㜝