亼 - 漢字私註

説文解字

亼
三合也。从、象三合之形。凡亼之屬皆从亼。讀若集。
註に臣鉉等曰、此疑只象形、非从入一也。といふ。
亼部

説文解字注

亼
三合也。从入一。象三合之形。許書通例。其成字者必曰从某。如此言从入一、是也。从入一而非會意。則又足之曰、象三合之形。謂似會意而實象形也。凡亼之屬皆从亼。讀若集。秦入切。七部。

康煕字典

部・劃數
人部(一劃)

『集韻』秦入切、音集。『說文』亼、三合也。从人一、象三合之形。讀若集。《徐鉉曰》此疑只象形、非从人一也。『正譌』亼、古集字。凡會等字𠀤从此。

部・劃數
入部(一劃)

『正字通』字之譌。本作亼。詳人部。

音訓

シフ(漢) 〈『廣韻・入聲・緝・集』秦入切〉[jí]{zaap6}
あつまる

解字

白川

象形。物を覆ふ形に象る。

説文解字・亼部』中の字を以て言へば、など器の蓋の形であり、かつ獨立して用ゐる例を見ない。『説文解字・亼部』や、續く『會部』、『倉部』に、一つとして亼(集)の形義を持つものはない。

恐らく部首字として抽出されたもの。

藤堂

指示。三方から寄せ集めるさまを示す。集めることを示す符號として、令、會、全、僉などに含まれる。

落合

の初文を亼の形に作る。建築物の屋根あるいは器物の蓋の象形。

『説文解字』は篆文の三角形に近い形をもとに三合なりとするが、殷代の用法とは異なつてゐる。

三合の解釋から、後に集と同じ音が當てられたが、周代に作られた字でも、などの聲符に使はれてをり、今の初文であることが認識されてゐた。

漢字多功能字庫

【補註】亼字條𠓛字條を倂せて參照。

甲骨文や金文では亼は單獨の字としては見えず、他字の要素として見える。多くの別の書き方と見ることができ、下に向いて開いた口を表してをり、あるいは倒口といふ。

亼(音は口)は、古から今に至るまでとても容易に𠓛(音は集)と入り交じる。この混淆の狀況は、古代の『説文解字』から今日の『漢語大字典』まで、みな免れてゐない。

𠓛はに從ひ、『説文解字』にいふ三合之形で、倒口の亼とは明瞭に區別せねばならない。字の形態について言へば、𠓛の三劃は比較的眞つ直ぐで、亼は下に向いて開いてゐる口を指すため、上下の唇を表す兩劃は比較的彎曲してゐる。この點は金文の數多の關係する字の中にすべて明らかに見える。

綜括すると次の如し。

屬性

U+4EBC
JIS: 2-1-23
𠓛
U+204DB

関聯字

亼に從ふ字を漢字私註部別一覽・亼部に蒐める。