辜 - 漢字私註
説文解字
辠也。从辛古聲。
- 初句の段注に
『周禮』殺王之親者辜之。《鄭注》辜之言枯也。謂磔之。按辜本非常重罪。引申之、凡有罪皆曰辜。
といふ。 - 十四・辛部
古文辜从死。
康煕字典
- 部・劃數
- 辛部・五劃
- 古文
- 𢩍
- 𢻄
- 𡱨
- 𡲞
『唐韻』古乎切『集韻』『韻會』『正韻』攻乎切、𠀤音姑。『說文』罪也。从辛古聲。『書・大禹謨』與其殺不辜、寧失不經。『周禮・夏官』以救無辜、伐有罪。
又必也。『前漢・律歷志』六律、姑洗。洗、絜也。言陽氣洗物辜絜之也。《註》辜絜、必使之絜也。
又磔也。『周禮・春官』以疈辜祭四方百物。《註》疈、披牲胷也。疈辜、披磔牲以祭也。
又障也。『後漢・靈帝紀』豪右辜榷。《註》謂障餘人賣買而自取其利也。一作辜較、義同。
又辜較、大槪也。詳車部較字註。
又月名。『爾雅・釋天』十一月爲辜。
又姓。
- 部・劃數
- 戶部七劃
『玉篇』古文[[#辜::字。註詳辛部五畫。
- 部・劃數
- 支部六劃
『字彙補』古文辜字。註詳辛部五畫。
- 部・劃數
- 尸部七劃
『字彙補』古文辜字。註見辛部五畫。
- 部・劃數
- 尸部・九劃
『集韻』辜古作𡲞。註詳辛部五畫。
音訓
- 音
- コ(漢) 〈『廣韻・上平聲・模・孤』古胡切〉
- 訓
- つみ。はりつけ。そむく。
解字
白川
形聲。聲符は古。辛は刑罰として入墨するときの針器。辜とは入墨を加へる刑をいふ。
説文解字に辠なり
とあり、辠は自(鼻)に入墨することを示す字で、罪の初文。古文の字形は『詛楚文』に見え、歺部に㱠とする字形に近く、犧牲として殺す意であらう。
『周禮・夏官・小子』に沈辜侯禳
(沈辜して侯禳す)、また『周禮・春官・大宗伯』に𠠦辜
(中國哲學書電子化計劃、Wikisourceは副辜に作る)といふときの辜は、犧牲として磔殺する意であるから、入墨の辜とは異なり、古文の㱠に當たる字かと思はれる。
藤堂
辛(刃物、罰する)と音符古(固く乾く)の會意兼形聲。固い、頑なの意を含む。
漢字多功能字庫
金文は死に從ひ古聲。また包山楚簡に見える。説文解字の古文と一致する。戰國秦系の字は辛に從ひ古聲。説文解字の小篆に同じ。
本義は重罪。段注を參照のこと。金文では基本義に用ゐる。[妾子]𧊒壺「「以憂氒(厥)民之隹(罹)不[古死](辜)。」は、その民の冤罪に遭ふを憂ふの意(張政烺)。『左傳・成公十七年』若殺不辜、將失其民、欲安、得乎。
また肢解、分裂を表す。
- 『周禮・秋官・掌戮』
凡殺其親者、焚之。殺王之親者、辜之。
鄭玄注辜、謂磔之。
- 『韓非子・內儲說上・七術』
荊南之地、麗水之中生金、人多竊采金。采金之禁、得而輒辜磔於市。
辜、磔はいづれも肢體を分け裂くの意。
また禍害(災害)を表す。
- 『漢書・王莽傳下』
遂令天下城邑為虛、丘壟發掘、害徧生民、辜及朽骨、自書傳所載亂臣賊子無道之人、考其禍敗、未有如莽之甚者也。
- また名詞となし、災禍を表す。『後漢書・烏桓鮮卑列傳』
光武初、烏桓與匈奴連兵為寇……五郡民庶、家受其辜、至於郡縣損壞、百姓流亡。
辜負はまた孤負に作る(補註: 背くの意)。(原文は、對不住(申し訣ない)、虧欠(缺ける)を表すといふが、文意が取り辛い。)
- 『三國志・蜀書・黃李呂馬王張傳』の裴松之注の引く晉・陳壽『益部耆舊傳』
臣當值聖明、受恩過量、加以疾病在身、常恐一朝隕沒、辜負榮遇。
- 唐・陳子昂〈申宗人冤獄書〉
頃者至忠、而今日受賂、辜負聖主、憂及慈親、誠足痛恨。
屬性
- 辜
- U+8F9C
- JIS: 1-77-67
- 𢩍
- U+22A4D
- 𢻄
- U+22EC4
- 𡱨
- U+21C68
- 𡲞
- U+21C9E