古 - 漢字私註
説文解字
故也。从十口。識前言者也。凡古之屬皆从古。臣鉉等曰、十口所傳是前言也。公戸切。
- 三・古部
古文古。
説文解字注
故也。『邶風』、『大雅』毛傳曰、古、故也。《攵部》曰、故、使爲之也。按故者、凡事之所以然。而所以然皆備於古。故曰、古、故也。『逸周書〔周祝解〕』天爲古。地爲久。鄭注『尚書』稽古爲同天。从十口。識前言者也。識前言者口也。至於十則展轉因襲。是爲自古在昔矣。公戸切。五部。凡古之屬皆从古。
古文古。
康煕字典
- 部・劃數
- 口部・二劃
- 古文
- 𠖠
- 𡇣
『唐韻』『集韻』公戸切『韻會』果五切『正韻』公土切、𠀤音鼓。『爾雅・釋詁』古、故也。『說文』从十、口。識前言者也。『徐鉉曰』十口所傳、是前言也。『玉篇』久也、始也。『書・堯典』曰若稽古帝堯。『詩・邶風』逝不古處。『前漢・藝文志』世歷三古。『孟康曰』伏羲上古、文王中古、孔子下古。
又『禮・祭義』以祀天地、山川、社稷、先古。《註》先古、謂先祖也。
又『周禮・冬官考工記』輪已庳、則於馬終古登阤也。《註》終古、猶言常也。
又賁古、縣名。『前漢・地理志』益州郡賁古縣。
又姓。『廣韻』周太王從邠適岐、稱古公、其後氏焉。漢有古初、蜀志有廣漢功曹古牧、北魏有古弼。
又草名。『爾雅・釋草』紅蘢古。《註》俗呼紅草爲蘢鼓、語轉耳。
又『集韻』古暮切、音顧。亦作故、義同。『劉向・九歎』興離騷之微文兮、兾靈修之壹悟。還余車于南郢兮、復姓軌于初古。
又『字彙補』溪姑切、音枯。古成氏、複姓。漢廣漢太守古成雲。後秦古成詵、以文章參樞密。
- 部・劃數
- 冖部十四劃
『正字通』古文古字。註詳口部二畫。
- 部・劃數
- 囗部七劃
『字彙補』古文古字。註詳口部二畫。
音訓
- 音
- コ(漢) 〈『廣韻・上聲・姥・古』公戸切〉[gǔ]{gu2}
- 訓
- いにしへ。ふるい。
解字
白川
十(干)と口の會意。口は祝詞などを收める器の形。その器を、聖器としての干で固く守護し、久しくその祈りを機能させようとした。それで先例舊慣の意となり、久古の意となる。
『説文解字』に字を十口の會意とし、故なり。〜前言を識る者なり。
といふ。『繫傳』には多くの人による傳承の意に解するが、古事をいふ。
古に攴を加へて、その呪能を害することを故といひ、事故、災厄を意味する。
卜辭に「王の舌を疾めるは、隹れ古(故)㞢るか」と古を故の意に用ゐ、また金文に「古(故)に」のやうにいふ例がある。故の形義を以て言へば、古が固閉された祝告、盟誓の意であることは疑ひがない。説文解字に錄する古文の字形は、廟中におけるその儀禮を示すものであらうと思はれる。
藤堂
象形。口は頭、その上は冠か髮飾りで、祀つてある祖先の頭蓋骨を描いたもの。克(重い頭を支へる)字の上部と同じ。干からびて固い昔の物を意味する。
落合
會意。甲骨文は楯の象形である毌を器物の上に置いた形。毌については中に近い略體が主に用ゐられてゐる。
甲骨文には「ふるい」の意での用例がなく、原義は明らかでない。
甲骨文では地名またはその長を表す。第一期(武丁代)には貞人としても見える。殷金文の圖象記號にも類似形がある。《合集》945古來馬。
金文で毌が甲(十)に變へられ、現用字の十の部分に當たる。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は盾と口に從ふ。固の初文で、本義は堅固なること(丁山)。古は堅固の固の古字である。上部は盾を象り、盾は堅強(強固、強靱)といふ特徵を有し、古人は盾に區別する意符の口を加へて古字を造り、堅固の固を表す(裘錫圭)。
後期金文で徐々に線條化され、上部が十の形に變化し、小篆のもととなる。
甲骨文では貞人名、地名に用ゐる。
金文での用義は次のとほり。
屬性
- 古
- U+53E4
- JIS: 1-24-37
- 當用漢字・常用漢字
- 𠖠
- U+205A0
- 𡇣
- U+211E3
関聯字
古に從ふ字を漢字私註部別一覽・口部・古枝に蒐める。