貴 - 漢字私註

説文解字

貴
物不賤也。从臾聲。臾、古文
貝部

康煕字典

部・劃數
貝部五劃
古文
𡭙
𧸋

『唐韻』居胃切『集韻』『韻會』歸謂切、𠀤音餽。『說文』作䝿、物不賤也。『易・繫辭』𤰞高以𨻰貴賤位矣。『書・旅獒』不貴異物、賤用物。

又『玉篇』高也、尊也。『易・繫辭』崇高莫大乎富貴。『周禮・天官・大宰』以八統詔王馭萬民、六曰尊貴。又『禮・祭儀』昔者有虞氏貴德而尚齒。《註》貴謂燕賜有加於諸臣也。又『孟子』用下敬上、謂之貴貴。

又欲也。『戰國策』貴合於秦以伐齊。《註》貴、猶欲也。

又『玉篇』多價也。『前漢・食貨志』器苦惡賈貴。

又『釋名』貴、歸也、物所歸仰也。

又姓。『風俗通』廬江太守貴遷。

又州名。『韻會』春秋駱越地、隋鬰州、唐攺貴州。

部・劃數
貝部九劃

『說文』本字。『九經字樣』䝿、隷省作貴。

部・劃數
貝部十二劃

『說文』古文字。註詳五畫。

部・劃數
小部三劃

『集韻』古作𡭙。註詳貝部五畫。

異體字

簡体字。

音訓

クヰ(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・未・貴』居胃切〉
たふとい。たかい。

解字

白川

𦥑の會意。貝を兩手で捧げる形。貴重なものとして扱ふ意を示す。

『説文解字』に聲とするが、聲が合はない。また臾は古文蕢なりとするが、は物を運ぶ草器のもつこで、貝を草器に入れることはない。

貝は系で貫いて前後に振り分けて荷ひ、一朋といふ。古く貨として通用し、彝器の銘文に、その制作費に十數朋の貝を用ゐたと記すものがある。

のち物のみでなく、人の身分や性行などに關しても用ゐる。

藤堂

(兩手で荷物を持つさま)と(品物)の會意。大きく目立つた財貨。

漢字多功能字庫

貴の初文は相向かふ二と、短い橫劃を中間に有した縱劃に從ふ。爪は手の形に象り、兩手で物を持つ形に象る。何琳儀は、小さい物は棄て易いの意に解し、遺棄の遺の初文とする。

陳秉新は兩手で贈與する物を持つに象り、贈與を表す遺の初文とする。按ずるに貴は遺落を表す遺の初文と見ることができ、金文の遺字は兩手の下に數點の在る形で、遺落する物のあるさまに象る。金文では人名に用ゐる。

後期金文は初文の下に左向き右向き一劃づつの斜筆を加へ、『説文解字』の古文と同形。あるいは下部にの形を加へ、目はの簡略形。目に從ふ貴字は、金文では尊貴を表す。鳥書箴銘帶鈎不擇貴戔(賤)

小篆は䝿に作る。

屬性

U+8CB4
JIS: 1-21-14
當用漢字・常用漢字
U+477F
𧸋
U+27E0B
𡭙
U+21B59
U+8D35

関聯字

貴に從ふ字を漢字私註部別一覽・貝部・貴枝に蒐める。