荒 - 漢字私註

説文解字

荒
あるいは𦮋に作る。
蕪也。从聲。一曰艸淹地也。
艸部

康煕字典

部・劃數
艸部六劃
古文
𠃤
𠯚

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤呼光切、音肓。『說文』蕪也。一曰草掩地也。『周語』田疇荒蕪。『韓詩外傳』四穀不升謂之荒。『爾雅・釋天』果不熟爲荒。

又廢也。『書・蔡仲之命』無荒棄朕命。《傳》無廢棄我命。

又大也。『詩・周頌』天作高山、大王荒之。『書・益稷』惟荒度土功。《傳》大治度水土之功。

又『書・禹貢』五百里荒服。『爾雅・釋地』觚竹、北戸、西王母、日下、謂之四荒。

又掩也。『詩・周南』南有樛木、葛藟荒之。

又空也。『吳語』荒成不盟。

又蒙也。『禮・喪大記註』在旁曰帷、在上曰荒。

又『集韻』同慌。『楚辭・哀郢』荒忽其焉極。

又通肓。『史記・扁鵲列傳』搦髓腦揲荒。《註》荒、膏荒也。

又地名。『水經注』荒谷東岸有冶父城。『梁元帝・玄覽賦』夕瞻荒谷之寺。

又歲名。『爾雅・釋天』大歲在己曰大荒落。

又姓、見『通志・氏族略』。

部・劃數
乙部五劃

『字彙補』古文字。註詳艸部六畫。

部・劃數
口部四劃

『篇海』古文字。註詳艸部六畫。

部・劃數
艸部六劃

『直音』與同。

廣韻

荒蕪。又姓。呼光切。十四。

草多皃。呼浪切、一。

音訓・用義

クヮウ(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・唐・荒』呼光切〉
あれる。あらい。すさむ。やぶれる。おほふ。おほきい(荒大)。むなしい。

漢語としては荒野、荒涼の意。亂暴の意は國語の用法。

解字

白川

形聲。聲符は。巟は死者の象。殘骨を示すに、なほ毛髮が殘つてゐる形。そのやうな屍體の棄てられてゐる曠野を荒といふ。

『説文解字』にるるなりとするが、ただの荒野をいふのではなく、荒凶、荒歲の意を含む。

それで邊裔の地、すべて生色なく無秩序の狀態にあることをいふ。

また荒大、荒唐の意がある。

藤堂

と音符の會意兼形聲。は、ない、何も見えないの意。巟は、何も見えない虛しい川。荒は、實りの作物が何もない、虛しいの意。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ聲。本義は荒廢、荒蕪(荒れ果ててゐる)。

傳世文獻では本義に用ゐ、田地に耕作する人なく、雜草が生ひ茂ることを指す。

田地の荒廢から轉じて人の懈怠荒廢を指す。金文に「怠荒」の語があり、「嚴敬」と相對す。傳世文獻にも近い用法がある。

戰國竹簡では巟で以て荒を表し、荒廢を指す。《上博竹書五・三德》簡7喜樂無堇(限)度、是胃(謂)大巟(荒)、皇天弗京(諒)、必復之㠯(以)憂喪。

漢帛書では芒を讀んで荒となす。《馬王堆・老子乙本卷前古佚書》第24行主失立(位)則國芒(荒)、臣失處則令不行、此之胃(謂)頖國。主が地位を失へば國家が荒廢し、臣が地位を失へば命令を行ふことができず、これは國家の潰亡である、の意。

屬性

U+8352
JIS: 1-25-51
當用漢字・常用漢字
𠃤
U+200E4
𠯚
U+20BDA
𦮋
U+26B8B

關聯字

荒聲の字