巟 - 漢字私註
説文解字
水廣也。从川亡聲。『易』曰、包巟用馮河。
- 初句の段注に
引申爲凡廣大之偁。『周頌』天作高山、大王荒之。《傳》曰、荒、大也。凡此等皆叚荒爲巟也。荒、蕪也。荒行而巟廢矣。
といふ。 - 十一・川部
康煕字典
- 部・劃數
- 巛部・三劃
『唐韻』呼光切、音荒。『說文』水廣也。
又『玉篇』及也、至也。
又『說文』引『易』包巟。○按今『泰卦』作荒、古通。
異體字
或體。
音訓
- 音
- クヮウ 〈『廣韻・下平聲・唐・荒』呼光切〉
解字
白川
象形。亡は死者の殘骨の象。その頭髮をなほ存する形で、荒の初文と見るべき字。巟の草間に遺棄される字が荒。
『説文解字』に水廣きなり。川に從ひ、亡聲。
とするが、下部は県の從ふところと同じく頭髮の象で、川の流れではない。
流の從ふところは𠫓で倒子の象。流は子の生まれる形。あるいは屍の流れる形。
巟は空虛荒廢のことをいふ。
藤堂
亡は、ない、何も見えないの意。巟は、何も見えない虛しい川。(『学研新漢和大辞典』荒字條)
漢字多功能字庫
金文は川に從ひ亡聲。小篆と構形が同じ。戴家祥は『説文解字』に從ひ、本義を水の廣遠なさまとする。
金文では國名に用ゐる。巟白簋巟白(伯)乍(作)姬寶簋。
「巟白」は巟國の首領のこと。
巟は荒の古字。『説文解字』・段注(上揭)參照。戰國竹簡に巟を荒と讀む。《上博竹書五・三德》簡7喜樂無堇(限)度、是胃(謂)大巟(荒)、皇天弗京(諒)、必復之㠯(以)憂喪。
戰國竹簡に巟をまた用ゐて惶となし、畏懼を指す。《上博竹書四・曹沫之陳》簡61勇者喜之、巟(惶)者悔之
は、勇氣ある人を喜ばせ、畏懼する人を後悔させるの意。
また用ゐて忘となす。《郭店簡・唐虞之道》簡8愛親巟(忘)臤(賢)、仁而未義也。
屬性
- 巟
- U+5DDF
- 㠩
- U+3829
關聯字
巟聲の字
- 荒
- 𧧢
- 㡆
- 𩣇
- 𩶶
- 𥿼