噓 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
本文には異同なく、註には朽居切。五部。
といふのみ。
康煕字典
- 部・劃數
- 口部十一劃
『唐韻』朽居切『集韻』『韻會』『正韻』休居切、𠀤音虛。『說文』吹也。『玉篇』吹嘘。『聲類』出氣急曰吹、緩曰嘘。『正韻』蹙脣吐氣曰吹、虛口出氣曰嘘。吹氣出於肺屬隂、故寒。嘘氣出丹田屬陽、故溫。『莊子・天運篇』孰嘘吸是。
又『徐無鬼』仰天而嘘。『集韻』亦作吁。○按【正韻】云、亦作呴喣欨。此三字𠀤匈于切、屬虞韻、嘘屬魚韻、音切各異、正韻非。
又『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤許御切、虛去聲。義同。
○按諸韻書𠀤作嘘。『字彙』『正字通』作噓、附十二畫、非、今攺正。
廣韻
- 卷・韻・小韻
- 上平聲・魚・虚
- 反切
- 朽居切〔音1〕
吹噓。
- 卷・韻・小韻
- 去聲・御・噓
- 反切
- 許御切〔音2〕
吹噓。
許御切。又音虛。一。
音訓
- 音
- キョ(漢) コ(呉)⦅一⦆
- 訓
- ふく。はく。うそぶく。⦅一⦆
- 國訓
- うそ⦅四⦆
- 官話
- xū⦅一⦆
- shī⦅三⦆
- 粤語
- heoi1⦅一⦆
- syu4⦅三⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上平聲・魚・虚』朽居切〔廣韻1〕
- 『集韻・平聲一・魚第九・虛』休居切
- 『五音集韻・上平聲卷第二・魚第七・曉・三虛』朽居切
- 聲母
- 曉(喉音・全清)
- 官話
- xū
- 粤語
- heoi1
- 日本語音
- キョ(漢)
- コ(呉)
- 訓
- ふく
- はく
- うそぶく
- 義
- 息を穩やかに吐く。溜息を吐く。
- 物を火や蒸氣の熱に當てる。(古今文字集成引『漢語大詞典』。以下同樣。)
- 息を吐く聲で制止し、あるいは驅逐する。
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・御・噓』許御切〔廣韻2〕
- 『集韻・去聲上・御第九・噓』許御切
- 『五音集韻・去聲卷第十・御第七・曉・三噓』許御切
- 聲母
- 曉(喉音・全清)
- 義
- ⦅一⦆に同じ。
⦅三⦆
- 官話
- shī
- 粤語
- syu4
- 義
- 感歎詞。制止するときや追ひ拂ふときに發する「シーッ」といふ聲。
⦅四⦆
- 國訓
- うそ
- 義
- 本邦では虛僞、虛言の意に用ゐる。
解字
白川
形聲。聲符は虛。虛は廢墟、既に實體を失つたもの。言葉にもならぬ氣息だけのものを噓といふ。
『説文解字』に吹くなり
とあり、『玉篇』に吹噓
とする。
出氣の急なるは吹、緩なるは噓、慨歎するときの息をいふ。
藤堂
漢字多功能字庫
- 『莊子・齊物論』
南郭子綦隱几而坐、仰天而噓、嗒焉似喪其耦。
陸德明釋文吐氣為噓。
- 『後漢書・鄭孔荀列傳』
孔公緒清談高論、噓枯吹生。
李賢注枯者噓之使生、生者吹之使枯、言談論有所抑揚也。
引伸して襃めそやすこと、大言することを表す。
- 北齊・顏之推『顏氏家訓・名實』
有一士族、讀書不過二三百卷、天才鈍拙、而家世殷厚、雅自矜持、多以酒犢珍玩、交諸名士、甘其餌者、遞相吹噓。
- 『舊唐書・元稹傳』
始自為學、至於升朝、無朋友為臣吹噓、無親戚為臣援庇。
歎息することを表す。
- 唐・孟郊〈病客吟〉
況于滯疾中、何人免噓𠾬。
- 『敦煌變文集・八相變』
太子作偈已了、更積愁憂、嘆息長噓、淚珠流滴。
屬性
- 嘘
- U+5618
- JIS: 1-17-19
- 噓
- U+5653
- JIS: 1-84-7