吁 - 漢字私註

説文解字

口部吁字條

吁

驚也。从聲。況于切。

口部

説文解字注

吁

驚也。从口亏聲。況于切。五部。按此篆當刪。說見《亏部》。

亏部吁字條

吁

驚語也。从口从亏、亏亦聲。臣鉉等案「口部有𠮱、此重出。」況于切。

亏部

説文解字注

吁

驚語也。〔書〕吕㓝』「王曰吁來」。按亏有大義、故从亏之字多訓大者。下云「大葉實根駭人」。𠮱訓「驚語」、故从亏口。亏者驚意。此篆重以亏會意、故不入《口部》、如句丩屬字之例。後人又於《口部》增吁、解云「驚也」、宜刪。

从口亏、亏亦聲。況于切。五部。

康煕字典

部・劃數
口部・三劃
古文
𠮲

『唐韻』况于切『集韻』『韻會』匈于切、𠀤音訏。『說文』驚也。『玉篇』疑怪之辭也。『廣韻』嘆也。『書・堯典』帝曰、吁嚚訟可乎。『詩・周南』云何吁矣。

又留吁、赤狄別種。『春秋・宣十六年』晉人滅赤狄、甲氏及留吁。

又省作。『詩・周南』于嗟麟兮。『召南』于嗟乎騶虞。

又『集韻』雲俱切、音迂。義同。

又『集韻』『正韻』𠀤休居切。與同。『王充・論衡』猪馬以气吁之。

又『廣韻』『集韻』𠀤王遇切、音芋。義同。

『說文』本作

部・劃數
口部・三劃

『玉篇』本字。

部・劃數
口部・三劃

『玉篇』古文字。註詳本畫。

音訓義

ク(漢)(呉)⦅一⦆
ウ(漢)(呉)⦅二⦆
キョ⦅三⦆
⦅四⦆
ああ。うれふ。なげく。⦅一⦆
官話
⦅一⦆
粤語
heoi1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・上平聲・虞・訏』況于切
集韻・平聲二・虞第十・訏』匈于切
『五音集韻・上平聲卷第二・虞第八・曉・三訏』匈于切
聲母
曉(喉音・全清)
官話
粤語
heoi1
日本語音
ク(漢)(呉)
ああ
うれふ
なげく
歎也。(『廣韻』)
歎也、驚也。(『集韻』)
驚いたり怪しんだり歎いたりするときの擬聲語。
歎息する。

⦅二⦆

反切
廣韻・去聲・遇・芋』王遇切
集韻・去聲上・遇第十・芌』王遇切
『五音集韻・去聲卷第十・遇第八・喻・三芋』王遇切
聲母
喻(喉音・次濁)
官話
藤堂はyùを示す。
參照した漢語資料では、yùには籲の簡体字としての用法が見えるのみ。
日本語音
ウ(漢)(呉)
疑怪辭也。(『廣韻』)
譍聲。一曰驚辭。(『集韻』)
藤堂は、返事をするときの聲、とする。

⦅三⦆

反切
集韻・平聲一魚第九』休居切
『五音集韻・上平聲卷第二・魚第七・曉・三虛』朽居切
聲母
曉(喉音・全清)
日本語音
キョ
『集韻』にをあるいは吁に作るとする。
補註
噓は官話xū、粤語heoi1に讀む。

⦅四⦆

反切
集韻・平聲二・虞第十・亐』雲俱切
『五音集韻・上平聲卷第二・虞第八・喻・三于』羽俱切
聲母
喻(喉音・次濁)
日本語音
ウ(推)
歎也。(『集韻』)

解字

白川

形聲。聲符は。于に、盱の聲がある。

『説文解字』口部に驚くなりとあり、驚く聲をいふ。

詩・周南・卷耳云何吁矣(ああ何ぞうれはしき)のやうに、憂苦の意に用ゐることがある。

『説文解字』は亏部に𠮱を重出し、段注に、于に大の義があり、口部を誤衍とする。しかし亦聲の字は多く聲符として扱ふべきであり、吁の從ふ于も、必ずしも于大の義をとるものではない。

藤堂

と音符の會意兼形聲。于は、息が下から上がつて一線でつかへることを示す指示字。吁は、于がと同じく前置詞(おいて、より)に轉用されたため、吁が于の原意(息がつかへてううと漏れる)を表す。(息が出る)や呼(息を吐く)とも緣が近い。

漢字多功能字庫

金文、篆文は、に從ひ聲。本義は驚き慌てるために叫ぶことで、間投詞に多用する。吁の原字たるべき于を調べると、于字と平、などの字は一樣に、元來はいづれも人の呼吸氣息と關係ある。しかし後に于は借りて虛字の于とされるため、後には分かれる義を排除するため、口を加へて吁となし、驚き慌てるときの息(あるいは聲)を指すと説明される。

金文では人名に用ゐる。春秋晩期の吳王光鑑に見える。

印璽文字では姓氏に用ゐる。《古璽彙編》4019鮮吁は「鮮于」と讀み、複姓。

古書では本義に用ゐる。

屬性

U+5401
JIS: 1-50-62
當用漢字・常用漢字
𠮱
U+20BB1
𠮲
U+20BB2

關聯字

吁を籲の簡体字として用ゐる。