諍 - 漢字私註

説文解字

諍
止也。从聲。
段注に經傳通作爭。といふ。
言部

康煕字典

部・劃數
言部八劃

『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤側迸切、爭去聲。『說文』止也。『韻會』謂止其失也。『正韻』諫諍、救正也。『前漢・王褒傳』諫諍卽見聽。『說苑・臣術篇』有能盡言于君、用則可生、不用則死、謂之諍。

又『列子・湯問篇』東北極有人、名曰諍人、長九寸。

又『集韻』通作。『孝經・諫諍章』天子有爭臣七人。

又『集韻』『韻會』甾莖切『正韻』甾耕切、𠀤音爭。訟也。『後漢・劉聖公傳』平理諍訟。『晉書・王沈・釋時論』闒茸勇敢於饕諍。《註》叶平聲。

異體字

簡体字。

音訓

(1) サウ(漢) 〈『廣韻・去聲・諍・諍』側迸切〉[zhèng]{zaang3}
(2) サウ(漢) 〈『集韻』甾莖切、音爭〉 [zhēng]{zaang1}
(1) いさめる。とめる。
(2) あらそふ。いさかふ。うつたへる。

解字

白川

形聲。聲符は。爭は物の上下を執り、互ひに爭ふ形。

『説文解字』に止むるなりとあり、諫止することをいふ。

また爭ひ訴へる意。

藤堂

と音符の會意兼形聲。爭は、一つのものを兩方に引つ張り合ふことを示す會意字。諍は、言葉で兩方から取り合ひをすること。諫める、訴へる、などといふのは、その派生義。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。本義は直言し諫めること。桂馥『說文解字義證』止當作正。諍、正聲相近。『周禮・司諫・注』云、諫猶正也、以道正人行。

諍は爭聲。早期文獻では往々にして爭に同じく用ゐる。故に段注に經傳通作爭。といふ。

『廣雅・釋詁四』諍、諫也。諍とは義が近いが、程度に違ひがある。『荀子・臣道』大臣父子兄弟有能進言於君、用則可、不用則去、謂之諫。有能進言於君、用則可、不用則死、謂之爭。『說苑・臣術』の文句が相近く、爭を諍に作る。諍の程度は諫に比べて嚴重で、往々にしてそれは死を以て諫めること。『荀子・臣道』伊尹、箕子、可謂諫矣。比干、子胥、可謂爭矣。比干は紂王を諫めたがゆゑに心臟を切り開かれ、伍子胥は呉王夫差より死を賜つた。

屬性

U+8ACD
JIS: 1-75-58
U+8BE4