爭 - 漢字私註
説文解字
説文解字注
引也。凡言爭者、皆謂引之使歸於己。
从𠬪𠂆。從𠬪猶從手。𠂆余制切。抴也。抴、引也。側莖切。十二部。
康煕字典
- 部・劃數
- 爪部・四劃
- 古文
- 𠫩
- 𠄙
『唐韻』側莖切『集韻』甾耕切、𠀤音箏。『說文』引也。从𠬪𠂆。《徐鉉曰》𠂆音曳。𠬪二手而曳之、爭之道也。『廣韻』競也。『書・大禹謨』汝惟不矜、天下莫與汝爭能。汝惟不伐、天下莫與汝爭功。
又『玉篇』諫也。
又訟也。『增韻』理也、辨也。『禮・曲禮』分爭辨訟、非禮不決。
又姓。『正字通』印藪有爭不識、爭同。
又『集韻』側逬切、箏去聲。義同。
- 部・劃數
- 亅部七劃
『玉篇』古文爭字。註詳爪部四畫。
- 部・劃數
- 厶部六劃
『集韻』爭古作𠫩。註詳爪部四畫。
異體字
簡体字。
いはゆる新字体。
音訓
- 音
- (1) サウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・耕・爭』側莖切〉[zhēng]{zang1/zaang1}
- (2) サウ(漢) [zhèng]
- 訓
- (1) あらそふ。いかでか。
- (2) いさめる
音義(2)は諍との通用による。
解字
白川
會意。杖形のものを兩端より相援いて爭ふ形。
『説文解字』に引くなり
とし、字形を𠬪(兩手)と𠂆とに從ふとするが、兩手の間にあるものは杖形の棒。
爰と相近く、爰は援引の意、爭は相爭ふことをいふ。
藤堂
爪(手)と一印と手の形の會意。ある物を兩者が手で引つ張り合ふさまを示す。↕型に引つ張り合ふの意を含む。
落合
會意。二又で物を爭奪してゐる形。物體は曲線で抽象的に表現されてゐる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 貞人名(賓組)。《合補》100
甲午卜爭貞、貯其有禍。
- 祭祀名。《甲骨綴合集》517
甲午卜、爭于河。
字形は金文で上部の又が爪に、物體が耜の象形の力に變へられ、更に篆文で力が亅になつた。
甲骨文では原義で用ゐられてゐないため、金文とは連續しない別字とする説もある。
漢字多功能字庫
甲骨文は二又に從ひ、犁で耕す形に象る(劉洪濤)。あるいは耦耕の形に象る(賈文)。二又の摑むものの下部は三角形を呈し、農耕用の犁に象る。又は手の形に象る。爭は二つの手(二人を代表する)で一つの犁の刃を引き摺り耕作をする樣子に象る。本來は耕作を表すが、假借して爭奪の爭となし、耕作の本義は既に廢された。
陸懋德は『中國發現之上古銅犁考』に耜是犁頭、而最初的牽用人拉。……二人同時工作、一人在後扶犁、一人在前拉犁、如此二人並耦、是謂之耦也。
と述べる。
卜辭では、爭は第一期(武丁代)の貞人で、また史官。
金文に爭字はなく、ただ偏旁に用ゐる。靜字の從ふ爭は二又と力に從ひ、力は農具の形で、犁の初文と義符として通用する。
『説文解字』引也。
段注凡言爭者、皆謂引之使歸於己。
徐灝箋爭之本義為兩手爭一物。
屬性
- 爭
- U+722D
- JIS: 1-64-7
- 人名用漢字
- 𠄙
- U+20119
- 𠫩
- U+20AE9
- 争
- U+4E89
- JIS: 1-33-72
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
爭に從ふ字を漢字私註部別一覽・爪部・爭枝に蒐める。