簡 - 漢字私註
説文解字
- 簡あるいは𥳑に作る。
牒也。从竹閒聲。
- 段注に
『片部』曰、牒、札也。『木部』曰、札、牒也。按𥳑、竹爲之。牘、木爲之。牒札其通語也。『釋器』曰、𥳑謂之畢。『〔禮〕學記』云「呻其佔畢」是也。等者、齊𥳑也。編者、次𥳑也。詳冊下。
- 五・竹部
康煕字典
- 部・劃數
- 竹部十二劃
- 古文
- 柬
『廣韻』『正韻』古限切『集韻』『韻會』賈限切、𠀤音柬。牒也。『爾雅・釋器』𥳑謂之畢。《疏》𥳑、竹𥳑也。古未有紙、載文于𥳑、謂之𥳑札、一名畢。『禮・王制』太史典禮、執𥳑記、奉諱惡。《註》𥳑記、策書也。『釋名』𥳑、閒也。編之篇篇有閒也。『杜預・春秋序』大事書之于策、小事𥳑牘而已。『詩・小雅』畏此𥳑書。《傳》𥳑書、戒命也。
又𥳑閱也。『周禮・春官』大田之禮、𥳑衆也。《疏》𥳑、閱也。謂閱其車徒之數也。又『夏官』大司馬𥳑𥡴鄕民。《註》謂比數之。
又要也、略也。『易・繫辭』乾以易知、坤以𥳑能。《疏》𥳑、謂𥳑省。『書・大禹謨』臨下以𥳑。『史記・樂書』大樂必易、大禮必𥳑。
又求也、選也。分別也。『書・多士』夏迪𥳑在王庭。『禮・王制』𥳑不肖以絀惡。『郊特牲』𥳑其車賦、而歷其卒伍。
又大也。『詩・邶風』𥳑兮𥳑兮。《傳》𥳑、大也。『周頌』降福𥳑𥳑。《傳》𥳑𥳑、大也。『論語』吾黨之小子狂𥳑。《註》𥳑、大也。
又『左傳・昭元年』子羽謂子皮曰、宋左師𥳑而禮。《註》無所臧否、故曰𥳑。共事大國、故曰禮。
又慢忽之謂𥳑。『孟子』是𥳑驩也。《疏》𥳑略不禮也。
又諫也。『左傳・成八年』晉侯使韓穿來言汶陽之田、季文子私焉曰、【詩】曰、猶之未遠、是用大𥳑。《註》𥳑、諫也。
又誠也。『禮・王制』有旨無𥳑不聽。《註》𥳑、誠也。有其意無其誠、不論以爲罪。
又『諡法』一德不懈曰𥳑、平易不訾曰𥳑。
又鼓聲。『詩・商頌』奏鼓𥳑𥳑。《箋》其聲和大。
又『韻會』手版也。古制長二尺四寸、短者半之。蔡邕曰、漢制長二尺、短者半、蓋單執一札、謂之𥳑。
又姓。周大夫𥳑師父、魯大夫𥳑叔。
異體字
或體。
簡体字。
音訓
- 音
- カン(漢) 〈『廣韻・上聲・産・簡』古限切〉[jiǎn]{gaan2}
- 訓
- ふだ。ふみ。はぶく(簡略)。つづまやか(簡約)。えらぶ。いさめる。
解字
白川
形聲。聲符は閒。
『説文解字』に牒なり
、札字條に牒なり
とあり、竹簡、木簡をいふ。
軍令も簡に記したもので、『詩・小雅・出車』に畏此簡書
(此の簡書を畏る)の句がある。
簡に大小があり、各一字一寸、韋(皮紐)で結ぶので韋編といふ。
藤堂
竹と音符閒の會意兼形聲。閒は、門の隙間があいて月がその間から見えることを示す會意字。簡は、一枚づつ間をあけて綴ぢる竹の札。
漢字多功能字庫
金文は竹に從ひ外聲(董蓮池)(補註: 𬔷に作る)。小篆、簡帛文字は竹に從ひ閒聲。外と閒は均しく聲符。竹は意符で、簡を竹で作ることを表す。本義は竹簡。金文に閒の異體を𨳿に作り、『説文解字』に據れば𨳿は閒の古文。故に外は𨳿の簡省(于豪亮、張政烺)。竹と外に從ふ形は簡の異體。小篆、簡帛文字は𥳑に作り、隸變のあと月を誤つて日に變へる。
簡の本義は竹簡。段注按𥳑、竹爲之。牘、木爲之。牒札其通語也。
- 『詩經・小雅・出車』
豈不懷歸、畏此簡書。
孔穎達疏古者無紙、有事書之於簡、謂之書簡。
- 後にひろく書籍を指す。『廣雅・釋器』
笧謂之簡。
笧は冊に同じく、書籍の稱。 - また書信と解く。
簡單、簡略の意を派生する。『廣雅・產韻』簡、略也。
- 『史記・齊太公世家』
太公至國、脩政、因其俗、簡其禮。
齊太公が初めて封國に到り、政令を修整し、當地の風俗を踏襲し、當時の禮節を簡化した、の意。「政簡刑清」の成語はこれより出づる。
また少ないと解く。
- 韓愈〈送浮屠文暢師序〉
夫獸深居而簡出。
は、野獸は奧深い所に隱れ棲み、滅多に出現しないの意。「深居簡出」の成語はこれに由來し、人が常に家の中にゐて滅多に外出しないことを表す。
簡を假借して揀選(選擇)の揀となす。
- 諸葛亮〈出師表〉
先帝簡拔以遺陛下
は、先帝は(彼等を)選んで陛下を輔助する、の意。
また諫と通じ、諫めるの意。
- 『左傳・成公八年』
『詩』曰、猶之未遠、是用大簡。
注云簡、諫也。
『詩・大雅・板』に猶之未遠、是用大諫。
に作る。王の計策は深遠さが不十分で、それで我は必死に王に諫言を進める、の意。
金文では簡策を表す。
- 中山王方壺
載之簡策、以戒嗣王。
は、簡策に記載し、以て嗣王を戒めるの意。
屬性
- 𥳑
- U+25CD1
- 簡
- U+7C21
- JIS: 1-20-42
- 當用漢字・常用漢字
- 简
- U+7B80