空 - 漢字私註
説文解字
竅也。从穴工聲。
- 七・穴部
説文解字注
竅也。今俗語所謂孔也。天地之閒亦一孔耳。古者司空主土。『尙書』大傳曰、城郭不繕。溝池不修。水泉不修。水爲民害。責於地公。司馬彪曰、司空公一人。掌水土事。凡營城、起邑、浚溝洫、修墳防之事。則議其利、建其功。是則司空以治水土爲職。禹作司空。治水而後晉百揆也。治水者必通其瀆。故曰司空猶司孔也。从穴工聲。形聲包會意也。苦紅切。九部。
康煕字典
- 部・劃數
- 穴部三劃
『唐韻』『正韻』苦紅切『集韻』『韻會』枯公切、𠀤音崆。空虛也。『史記・天官書』赤帝行德天牢、謂之空。
又大也。『詩・小雅』在彼空谷。《傳》大也。
又盡也。『爾雅・釋詁』空、盡也。『詩・小雅』杼柚其空。
又太空、天也。
又地名。『爾雅・釋地』北戴斗極爲空桐。『左傳・哀二十年』宋公遊于空澤。《註》空澤、宋地。『史記・殷本紀註』伊尹生于空桑。『前漢・地理志』京兆縣十二、其三曰船司空。《註》縣名。本主船之官、遂以爲縣。又『武帝紀』元鼎五年、行幸雍遂、踰隴登空同。《註》空同、山名。亦作崆峒。『山海經』白馬山又北二百里曰空桑之山、空桑之水出焉。『括地志』徵在生孔子空桑之地、今名空竇、在曲阜縣南二十里女陵山。『魏土地記』代城東北九十里有空侯城。
又官名。『書・舜典』伯禹作司空。又『周官』司空掌邦土、居四民、時地利。
又拜名。『周禮・春官』大祝辨九拜、三曰空首。《疏》先以兩手拱地、乃頭至手、是爲空首也。
又樂器名。『風俗通』箜篌、一名坎侯。或曰空侯、取其空中。『楚辭註』空桑、瑟名。
又獄名。『禮・記疏』囹圄、魏曰司空。
又姓。『廣韻』漢複姓有、空桐、空相二氏。
又『集韻』『韻會』苦動切『正韻』康董切、𠀤音孔。穴也、竅也、竉也。通作孔。『周禮・冬官考工記』函人眡其鑽空。『史記・五帝紀』瞍使舜穿井、爲匿空旁出。『大宛傳』張騫鑿空。《註》西域本無道路、今鑿孔而通之也。『韓非子・喩世篇』空竅者、神明之戸牖也。『韻會小補』秦人呼土窟爲土空。
又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤苦貢切、音控。窮也。『詩・小雅』不宜空我師。《註》不宜使小人困窮民也。
又缺也。『揚子・法言』酒誥之篇俄空焉。
又虛也。『論語』回也其庶乎、屢空。《註》空猶虛中也。
又叶枯江切。『徐幹・思室詩』良會無有期、中心摧且傷。不聊憂飧食、嗛嗛常饑空。
又叶枯良切。『詩・小雅』小東大東、杼柚其空。糾糾葛屨、可以履霜。
音訓
- 音
- (1) クウ(呉) コウ(漢) 〈『廣韻・上平聲・東・空』苦紅切〉[kōng]{hung1}
- (2) クウ(呉) コウ(漢) 〈『集韻』苦動切、音孔、上聲董韻〉[kǒng]
- (3) クウ(呉) コウ(漢) 〈『廣韻・去聲・送・控』苦貢切〉[kòng]{hung3}
- 訓
- (1) むなしい(空虛、中空)。そら(天空)。
- (2) あな
- (3) むなしくする。むなしい(空白、空乏)。
解字
白川
形聲。聲符は工。工は虹、杠のやうにゆるく彎曲する形のものを示すことがあり、穴のその形狀のものを空といふ。
『説文解字』に竅なり
、竅字條に空なり
とあつて、空竅互訓。竅とは肉の落ちた骨骼にやうに隙間のある穴。
空はのち天空の意に用ゐる。
藤堂
穴と音符工の會意兼形聲。工は、突き拔く意を含む。空は、突き拔けて穴が空き、中に何もないことを示す。
漢字多功能字庫
穴に從ひ工聲。金文では、空は容の通假字とされて、容量を表す。十一年庫嗇夫鼎容二斗。
空の本義は孔洞。『說文解字』空、竅也。
段注今俗語所謂孔也。
竅字下注空、孔古今字。
- 『莊子・秋水』
四海之在天地之間也、不似礨空之在大澤乎。
陸德明釋文空、音孔。礨孔、小穴也。
- 『漢書・王貢兩龔鮑傳』
今貧民菜食不厭、衣又穿空、父子夫婦不能相保、誠可為酸鼻。
顏師古注空、孔也。
引伸して空間、空隙を指す。
- 『淮南子・原道』
是故有以自得也、喬木之下、空穴之中、足以適情。
- 『史記・龜策列傳』
竹外有節理、中直空虛。
特に天空を指す。段注天地之閒亦一孔耳。
- 『列子・黃帝』
乘空如履實、寢虛若處床。
- 『晉書・天文志上』
日月眾星、自然浮生虛空之中、其行其止皆須氣焉。
引伸して空虛、中のないものを指す。『廣韻・東韻』空、空虛。
- 『戰國策・西周策』
韓氏罷於兵、倉廩空、無以守城。
- 『管子・五輔』
倉廩實而囹圄空、賢人進而姦民退。
- 《睡虎地秦墓竹簡・法律答問》簡151
空倉中有薦、薦下有稼一石以上、廷行【事】貲一甲、令史監者一盾。
空の倉に草の敷物があり、敷物の下に糧食が一石以上ある場合、先例では一甲の罰を科し、倂せて監督すべき令史に一盾の罰を科す。」」
空虛の義から、空にすること、盡きさせることを意味する。『爾雅・釋詁上』空、盡也。
- 『鹽鐵論・本議』
內空府庫之藏、外乏執備之用。
- 『論衡・薄葬』
是以世俗輕愚信禍福者、畏死不懼義、重死不顧生、竭財以事神、空家以送終。
廣廣としてゐることを表す。『玉篇・穴部』空、大也。
- 『詩・小雅・白駒』
皎皎白駒、在彼空谷。
- 『文選・左太沖・詠史』
寥寥空宇中、所講在玄虛。
李善注空、廓也。
空疎を表す。
- 『尉繚子・兵令下』
聚卒為軍、有空名而無實。
- 『呂氏春秋・知度』
至治之世、其民不好空言虛辭、不好淫學流說、賢不肖各反其質。
副詞となし、「徒に」の意。
- 『戰國策・秦策二』
若太后之神靈、明知死者之無知矣、何為空以生所愛、葬於無知之死人哉。
- 『漢書・匈奴傳下』
雖空行空反、尚誅兩將軍。
また、ただ、僅かにの意を表す。
- 唐・杜甫〈塞蘆子〉
邊兵盡東征、城內空荊杞。
- 唐・李頎〈古從軍行〉
年年戰骨埋荒草、空見蒲桃入漢家。
困窮、貧乏を表す。『正字通・穴部』空、困窮空乏也。
- 『詩・小雅・節南山』
不弔昊天、不宜空我師。
《毛傳》空、窮也。
- 『論語・先進』
回也、其庶乎、屢空。」劉寶楠正義「「凡貧窮無財者、亦謂之空。
時間上の空隙、間隙を表す。
- 『三國志・吳書・賀全呂周鍾離傳』
看伺空隙、欲復為亂、為亂之日、魴命訖矣。
また、隙、つけこむ機會を表す。
- 元・馬致遠『漢宮秋・第二折』
我得空逃走了、無處投奔。
「空」は梵語śūnyaの漢譯で、佛教の基本的な觀念。
屬性
- 空
- U+7A7A
- JIS: 1-22-85
- 當用漢字・常用漢字
關聯字
空聲の字
- 腔
- 椌
- 涳
- 控