穴 - 漢字私註
説文解字
土室也。从宀八聲。凡穴之屬皆从穴。胡決切。
- 七・穴部
説文解字注
土室也。引伸之凡空竅皆爲穴。从宀。覆其上也。八聲。胡決切。十二部。凡穴之屬皆从穴。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𥤢
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤胡決切、音坹。『說文』土室也。『易・繫辭』上古穴居而野處。『詩・大雅』陶復陶穴。《箋》未有寢廟、故覆穴而居。
又『玉篇』孔穴也。『孟子』鑽穴隙相窺。
又『廣韻』窟也。『易・需卦』出自穴。
又訓爲側。『爾雅・釋水』氿泉穴出。穴出、仄出也。
又官名。『周禮・秋官』穴氏掌攻蟄獸。《疏》凡獸皆藏穴中、故以穴爲官名、使取蟄獸。
又地名。『書・禹貢』鳥鼠同穴。『爾雅・釋地』岠齊州以南戴日爲丹穴。『左傳・文十一年』潘崇伐麇、至于鍚穴。《註》鍚穴、麇地。『水經注』中廬縣之西山謂之馬穴山。『左思・蜀都賦』嘉魚出于丙穴。《註》丙穴、在漢中沔陽縣北。
又『韻會』古穴切。『前漢・天文志』暈適背穴。《註》孟康曰、穴、或作鐍、其形如鐍。如淳曰、凡氣在日上爲冠爲戴、在旁直射爲珥、在旁如半環向日爲抱、向外爲背、有氣刺日爲鐍。鐍、抉傷也。
又叶胡桂切。『曹植・七啓』采英奇于側陋、宣皇明于巖穴。此甯子商歌之秋、而呂望所以投綸而逝。
又『集韻』戸橘切。『淮南子・原道訓』水居窟穴、人民有室。『孔融詩』言多令事敗、器漏苦不密。河潰蟻孔端、山壞由猿穴。
異體字
『康煕字典』の古文。見出しには採らず。
音訓
- 音
- クヱツ(漢) 〈『廣韻・入聲・屑・穴』胡決切〉[xué]{jyut6}
- 訓
- あな。ほら。うがつ。
解字
白川
象形。土室の入口の形に象る。
『説文解字』に八聲とするが、八は土室の入口の象形。
『墨子・辭過』古之民、未知為宮室時、就陵阜而居、穴而處下。
(古の民、未だ宮室を爲ることを知らざりし時、陵阜に就きて居り、穴して下きに處る)と見える(補註: 中國哲學書電子化計劃は句の切り方を異にする)。穴居土室は、黃土地帶では今でも行はれてゐる住居の形式。內、入も、その入口を示す象形字。
藤堂
宀(家)と八(左右に分ける)の會意。洞穴を掘り分けて、その中に住む穴居住宅を示す。
漢字多功能字庫
象形字で、洞穴の形に象る。本義は居住用の洞穴。今のところ甲骨文や金文に單獨の穴字は見えない。金文では穴が偏旁に用ゐられてゐる。『説文解字』の字釋は比較的晩期の字形に據る誤つた分析で、早期の穴の字形は八に從ふものではない(參・季旭昇)。
早期人類は土室の中に住んでゐた。
- 『周易・繫辭下』
上古穴居而野處、後世聖人易之以宮室。
- 『詩・文王之什・緜』
古公亶父、陶復陶穴、未有家室。
鄭玄箋鑿地曰穴。
于省吾は、陶はここでは動詞で、穴の底や壁を燒成することを指す、とする。
楚系文字に穴と土に從ふ字形があり、穴の異體である(李守奎、曲冰、孫偉龍)。
穴は墓穴を指すこともある。『詩・王風・大車』穀則異室、死則同穴。
鄭玄箋穴、謂塚壙中也。
穴はまた動物の巢穴を表す。
- 『山海經・中山經』
有穴焉、熊之穴、恒出神人。
- 『淮南子・齊俗』
夫飛鳥主巢、狐狸主穴、巢者巢成而得棲焉、穴者穴成而得宿焉。
大きい洞窟だけでなく、小さい穴をも表す。
- 『玉篇・穴部』
穴、孔穴也。
- 『孟子・滕文公下』
不待父母之命、媒妁之言、鑽穴隙相窺、踰牆相從、則父母國人皆賤之。
「穴隙」は小さい穴、縫隙(割れ目、隙間、間隙)のこと。
また人體の穴を表す。
- 『素問・氣穴論』
陰陽蹻四穴
、張志聰集注蓋穴者、脈氣之所注也。
- 『傷寒論・傷寒例』
凡治溫病、可刺五十九穴。
- 『黃帝內經・氣穴論』
余聞氣穴三百六十五、以應一歲。
屬性
- 穴
- U+7A74
- JIS: 1-23-74
- 當用漢字・常用漢字
- 𥤢
- U+25922
関聯字
穴に從ふ字を漢字私註部別一覽・穴部に蒐める。